東京 大正頃 約百十年前
刃長 二尺九分
反り 七分九厘
元幅 八分六厘
先幅 五分四厘
重ね 二分
彫刻 表裏 棒樋丸止
金色絵一重ハバキ 白鞘付 桐箱付
金梨子地塗桐紋蒔絵鞘衛府太刀拵入
拵全長:二尺九寸二分
柄長:六分二厘強
平成三年東京都登録
Tokyo capital
Taisho era(A.D.1912-1926)
About 110 years ago
Ha-cho (Edge length) 63.3cm
Sori (Curvature) approx. 2.42cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 2.61cm
Saki-haba (width at Kissaki) approx. 1.64cm
Kasane (thickness) approx. 0.61cm
Gold plating single Habaki
Wooden case (Shirasaya) Kiri box
Kin nashiji nuri"Kiri" mon makie saya, efudachi koshirae
Whole length: approx. 88.5cm
Hilt length: approx. 1.88cm
源良近は森久助と称し、東京芝三島町に居住した刀工。御大典の際に用いられる儀仗太刀の製作を専らとし、大正から昭和にかけて活躍した。扱いが困難な西洋の鉄に取り組んで研究し、硬軟質の異なる地鉄を織り交ぜて独特の微塵に詰んだ地鉄を開発し、切れ味も殊に優れたことから宮中の衛兵が備える刀の製作にも携わっていた。
この色合い鮮やかな拵は、大正四年十一月十日に京都で行われた大正天皇即位の大礼に用いられたもので、古式に則った衛府太刀の様式。厚い金梨子地塗とされた鞘には唐草文と五七の桐紋が盛上蒔絵とされており、時を経て古色が浮かび上がり、革所の風合いも時代が付き、金色絵が施された金具の光沢も強く鮮やかに輝き、総体に威厳と格調が感じられる歴史的遺品となっている。
刀身は拵と共に製作されたもので、鎌倉時代の太刀を想わせる輪反りに腰反りの加わった上品な姿。小板目鍛えの地鉄は微塵に詰んで微細な地沸で覆われ、しっとりとした質感。小沸に匂を複合した刃文は端正な直刃で破綻なく焼かれ、光を受けると鮮やかに輝く。茎には化粧鑢の付いた筋違鑢が施され、丁寧な鑚遣いの銘が刻されている。