筑前国 応永頃 約六百年前
刃長 一尺六寸九分二厘
反り 四分
元幅 八分五厘
先幅 五分五厘
棟重ね 一分三厘
鎬重ね 一分七厘
金着二重ハバキ 白鞘付
黒漆塗鞘脇差拵入
拵全長 二尺四寸九分
柄長 六寸二分
昭和四十二年栃木県登録
特別保存刀剣鑑定書(伝金剛兵衛)
Chikuzen province
Oei era(A.D.1394-1427, early Muromachi period)
About 600 years ago
Ha-cho (Edge length) 51.3cm
Sori (Curvature) approx. 1.21cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 2.57cm
Saki-haba (width at Kissaki) approx. 1.67cm
Kasane (thickness) approx. 0.52cm
Gold foil double Habaki
Wooden case (Shirasaya)
Kuro urushi nuri saya, wakizashi koshriae
Whole lengt: approx. 75.4cm
Hilt lengt: approx. 18.8cm
Tokubetsu-Hozon certificate by NBTHK
(den Kongo hyoe)
南北朝期から室町後期の金剛兵衛派は太宰府に近い宝満山南西麓有智山に居住した刀工群。盛高、吉盛、盛匡、盛次など盛の字を銘に使い、金剛兵衛の名乗りは、宝満山の竈門神社の号宝満金剛に因むという。
この小太刀は室町初期応永頃の盛次の作。二寸半程の磨り上げで、元来の長さは一尺九寸強。身幅尋常で重ねを控え、腰反り高く小鋒に結び、今尚姿形は優美。小板目鍛えの地鉄は刃寄りに柾目を配して詰み、刃寄りに微細な地沸が厚く付いて白く映りが立ち、「ねっとり」と表現される柔らか味のある粘り気と温潤味を感じさせる鎮西特有の肌合い。刃文も特徴的な直刃で、明るい純白の小沸が付いて刃縁が締まり、刃境に小形の湯走り、打ちのけ、ほつれ、刃縁に絡みつくような金線が掛かり、小足と葉が無数に入るという大和伝の働きが顕著。帽子はふくらに沿って小丸に返る。茎の先端には神妙に刻された二字銘が遺されている。
附帯する拵の鞘色は黒漆が透けて赤味を帯び、疵もあるが滋味は格別。鐔尽図目貫は菊花透図鐔が金色鮮やかに映えて瀟洒。松図縁頭と鐔も渋く調和している。刀身と呼応する古寂な風合いが魅力横溢の作である。