近江国 江戸時代
全長 四尺五寸二分八厘
銃身長 三尺四寸七分八厘
口径 四分三厘
平成六年鹿児島県登録
Omi province
Edo period
Whole length:137.2cm
Gun barrel length: approx. 105.4cm
Caliber: approx. 1.3cm
幕府の御用を勤めて栄えた近江国國友には多くの鍛冶職人が集まり、信頼に足る性能の高い鉄炮が製作された。因みに、現存する火縄銃においては國友系鍛冶によるものが最も多いといわれている。國友筒は殊に鍛えが良く頑強であったことから幕府のみならず全国の大名や砲術家たちが競って國友へ発注した故であろう。また、象嵌や飾り金具による華麗な装飾も魅力の一つである。
鍛えの良い八角形の銃身に仕立てられたこの火縄銃は、色合い黒く地鉄に粘り気が感じられる鉄質。銃身には宝珠とそれを追う躍動感のある龍が、また元目当の下には梅と唐花紋が銀象嵌によって装飾されている。銃床を装う筒金にも牡丹を彫り描き、台木や台かぶ、座金には真鍮や銀の飾り金具で獅子、牡丹、宝珠、松、菊などが贅沢に装飾されている。絡繰部分も健全に作動する、見栄えの良い作である。