刃長 一尺七寸二分五厘
反り 三分三厘
元幅 一寸五厘
先幅 七分二厘
棟重ね 二分六厘半
鎬重ね 二分四厘
金着二重ハバキ 白鞘入
平成九年愛知県登録
特別保存刀剣鑑定書
Hacho (Edge length) 52.3㎝
Sori (Curvature) approx.1㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx.3.18㎝
Saki-haba(Width at Kissaki) approx.2.18㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.8㎝
Gold foil double Habaki / Shirasaya
三善長道は会津藩松平家に仕えた寛文頃の刀工で、初銘を道長と切り、万治元年八月十三日に二十六歳で陸奥大掾を受領している(注①)。得意とした二つずつに連れた互の目乱の刃文は長曽祢虎徹の瓢箪刃を想わせ、しかも切れ味が抜群に優れて虎徹と同じ最上(さいじょう)大業物(おおわざもの)に位列されていることから古来「会津虎徹」と称され、地元は勿論、広く刀界で愛されている。
この脇差は、身幅広く両区が深く残された健全体配。重ねが厚く、刃先の贅肉が削ぎ落された造り込みは優れた切れ味の証明。地鉄は鎬地に柾が強く流れ、太い地景が入った板目鍛えの平地は肌目起ち、粒立った地沸が厚く付いて明るい鉄色を呈する。刃文は浅い湾れに尖りごころの刃、得意の二つ連れた互の目を交えて抑揚変化し、沸が厚く付いて刃縁の光も強く、刃境には金線、細かな砂流しが掛かり、清く澄んだ刃中に足が太く入って刃味の良さが歴然。帽子も横手を強く焼き込んで小丸に返り、虎徹に酷似。茎に刻された神妙な銘字に長道の篤実な人柄が滲んでいる。尚武の気風が強い会津藩士の需(注②)で精鍛された大小一腰の小刀であろう。三善長道の特色が顕著でしかも出来の優れた一振となっている。