短刀
銘 氷心子秀世入道
弘化丁未年試鍛

Tanto
Hyoshinshi HIDEYO nyudo
Koka Hinoto-Hitsuji no toshi tameshini kitaeru


武蔵国 弘化四年 百七十五年前

刃長 六寸九分
元幅 六分七厘半
重ね 一分九厘

金着一重ハバキ 白鞘入

昭和四十三年広島県登録

保存刀剣鑑定書

価格 四十五万円(消費税込)

Musashi province
Koka Hinoto-Hitsuji
(A.D.1847, Koka 4, late Edo period)
175 years ago

Hacho (Edge length) 20.9㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 2.05㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.58㎝

Gold foil single Habaki / Shirasaya

Hozon certificate by NBTHK

Price 450,000 JPY

 江戸時代末期、復古刀思想に応じた刀工は、殊に姿格好や刃文を通して鎌倉時代や南北朝時代の太刀の再現を試み、専ら雄大で華やかな作品を製作した。その一方で、戦国武将が肌身離さず携えていた古名工の短刀へ目を向けた刀工もあった。華やかさを抑え、静けさを湛えた直刃出来の山城伝に意を求めたのが新々刀の父と尊称される水心子正秀に学んだ氷心子(ひょうしんし)秀(ひで)世(よ)であった。秀世は田村群平と称し、最初は石堂運寿是一の門に入り、後に正秀の指導を受けて成長し、師の娘婿となり麻布今里(注)に鍛冶場を設け、越後高田藩榊原家に仕えている。
 鎌倉末期の新藤五國光を手本としたと思われるこの短刀は、内反りごころの姿に造り込まれ、時代を経てきたように先が鋭利に仕立てられ、振袖風に反りを設けた茎も優雅。小板目鍛えの地鉄は総体に詰みながらも所々に古調な板目肌を交えて地沸が付き、下半に淡く映りが立つ。刃文は匂口の締まった端正な細直刃。破綻なく焼かれて物打辺りごくわずかにほつれ、帽子は品よく小丸に返る。古作研究の最中の一口であろうか、茎には化粧鑢が施され、年紀と試鍛の添銘が刻されている。

注…現東京都港区白金台一丁目辺り。

短刀 銘 氷心子秀世入道 弘化丁未年試鍛短刀 銘 氷心子秀世入道 弘化丁未年試鍛短刀 銘 氷心子秀世入道 弘化丁未年試鍛白鞘

 

短刀 銘 氷心子秀世入道 弘化丁未年試鍛 差表切先短刀 銘 氷心子秀世入道 弘化丁未年試鍛 刀身差表 ハバキ上

短刀 銘 氷心子秀世入道 弘化丁未年試鍛刀身差裏切先短刀 銘 氷心子秀世入道 弘化丁未年試鍛差裏ハバキ上

短刀 銘 氷心子秀世入道 弘化丁未年試鍛 ハバキ

 

秀世押形