生ぶ茎無銘 同田貫

Katana
no sign (Ubu-nakago)
DODANUKI


肥後国 文禄頃 約四百二十五年前

刃長 二尺一寸五分五厘
反り 六分
元幅 一寸九厘半
先幅 八分五厘強
棟重ね 二分三厘強
鎬重ね 二分八厘

金着一重ハバキ 白鞘入

昭和三十二年東京都登録

保存刀剣鑑定書(同田貫)

Higo province
Bunroku era (A.D.1592-1595, Momoyama period)
About 425 years ago

Hacho (Edge length) 65.3㎝
Sori (Curvature) approx.1.8㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx.3.3㎝
Saki-haba(Width at Kissaki) approx.2.5㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.7㎝

Gold foil single Habaki / Shirasaya

Hozon certificate by NBTHK
(Dodanuki)

 同田貫(どうだぬき)といえば加藤清正より名前の一字を各々拝領と伝える正國と清國が著名。豪壮な姿で肌目の起った板目に浅い湾れ刃が焼かれ、鉄鎧をも截断せんばかりの覇気に満ちた作が多い。作風が似た両者ながら、正國が九州肥後同田貫を冠するのに対し、清國は「肥州住藤原」とのみ銘し、茎の中程は正國のそれに比してやや張って栗尻に造り込まれ、正國とは個性を異にしている(注①)。
 この刀は無銘ながら生ぶ茎で、清國に近い刀工、就中、天正、文禄頃の國吉(注②)の作とみられる一振。棟を真に造り、身幅広く、狭い鎬地は贅肉が僅かに削ぎ落されて総体に鎬筋が張り、先反りが付いて鋒が大きく延びた威圧感のある造り込み。板目鍛えの地鉄は地斑を交え、地景太く入って肌目強く立ち、地沸が厚く付いて白く映りが立つ。直刃調の焼刃は小互の目、小丁子、小湾れを交え、中程より先に尖りごころの互の目を間遠く配して変化に富み、強く沸付いて刃縁明るく、刃境に金線、砂流し、物打辺に金筋が蠢き、小足、葉が無数に入り、刃中も沸付いて照度が高い。帽子は焼深く強く沸付き、激しく乱れ込んで焼き詰める。茎は短く素早い抜刀と片手での使用に適している。千軍万馬の武将が日本で、更には大陸で躍動した時代の風を今に伝えている。

注①…正國の作は『銀座情報』百八十八号、二百三十二号に載せられており、清國らの茎形と比較すると違いは歴然である。

注②…肥州國吉作の二尺四寸七分三厘の刀(『銀座情報』百六十二号)に似ている。

刀 生ぶ茎無銘 同田貫刀 生ぶ茎無銘 同田貫刀 生ぶ茎無銘 同田貫 白鞘

 

刀 生ぶ茎無銘 同田貫 差表切先刀 生ぶ茎無銘 同田貫 差表中央刀 生ぶ茎無銘 同田貫 差表ハバキ上

刀 生ぶ茎無銘 同田貫 差裏切先刀 生ぶ茎無銘 同田貫 差裏切先 中央刀 生ぶ茎無銘 同田貫差裏 ハバキ上

 

刀 生ぶ茎無銘 同田貫 ハバキ

 

同田貫押形