『柳村仙壽平成の刀身彫刻』
『刀身彫刻の精華』所載
昭和六十年福島県登録
価格 百二十万円(消費税込)
Swordsmith: Fujiyasu MASAHIRA
Lives in Fukushima city, Fukushima province
Pure gold "Bonji and Hoju" engraving double Habaki
Shirasaya / Kiri box
Put in "Yanagimura Senju, Heisei no Toshin chokoku"
"Toshin chokoku no seiga"
Price 1,200,000 JPY
古作が伝えてきた伝統的な刀身彫刻を学び、さらに独創を加味して新趣の空間構成を突き詰め、相州伝、備前伝、山城伝と、多彩な作風からなる地刃との調和を新たにした柳村仙壽師の、大黒天の肉彫。
仙壽師は昭和二十年の生まれ。独学で彫刻を学び岡山県伝統工芸展で入選を果たすも、視野を広げ技術を高めるために苔口仙琇師に弟子入りして刀身彫刻の神髄に迫る。以降新作刀展覧会では特賞を連続受賞、伊勢神宮式年遷宮の御神宝製作を拝命、各地の神社の宝物を製作するなど、現代彫金界を代表する作家として活躍した。
國廣や虎徹にみられる大黒天の刀身彫刻は、動きが固く、やや類型的なきらいがある。あらゆる図柄に挑戦する意欲が漲っていた仙壽師は、槌振る手を頭上に掲げた独創的構成の大黒天を、地を深く彫り下げることによって高肉に表し、表面を磨いて容彫風に仕上げている。大黒天の姿と絶やさすことのないその笑顔は、穏やかに乱れる刃文の動きと調和し、作品全体の音律を一にして清浄感に溢れている。
刀身は、人間国宝宮入昭平師に学んだ藤安将平刀匠の、寸法延びごころに安定感のある造り込みの短刀。均質に詰んだ小板目鍛えの地鉄は、ゆったりと流れるような板目肌が地景によって浮かび上がり、沸映りが鮮明に現れて総体が活力に満ちているのみならず爽やか。浅い湾れに互の目を交えた刃文は小沸で明るく冴え冴えとし、帽子は先端が炎のように乱れて返る。
仙壽師の金象嵌花押を添えた彫銘と、流暢な将平刀匠の銘も清く刻され、金無垢地に梵字と宝珠を陰刻したハバキが冴えている。