穂長 二尺三寸七分五厘
元幅 一寸五厘強
先幅 約八分四厘強
重ね 約三分三厘
彫刻 裏 打樋
茶叩塗鞘槍拵入(白鞘はありません)
拵全長 九尺八寸
柄長 九尺二寸強
鞘長 約二尺三寸六分
平成十一年宮崎県登録
特別保存刀剣鑑定書
Hocho (Spear length) 72㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx.3.18㎝
Saki-haba(Width at Kissaki) approx.2.54㎝
Kasane (Thickenss) approx. 1㎝
Engraving: "Uchi-hi" on the back face (Ura)
肥後同田貫源左衛門の在銘の大身槍。源左衛門は加藤清正の朝鮮出兵にも従った同田貫正國一門の巧者で、特に大身槍を得意としたと推考され、多数の遺例があり、大身槍のほかにも一尺六寸強の大薙刀を遺している(注)。戦場で、この長大な槍を突き出された者は恐怖のあまり身動きがならず、戦意を失ったであろうことは想像に難くない。
この槍は、区上辺りを幅広く、重ねを厚く仕立て、先端に行くに従ってバランス良く身幅を狭めた、操作性を考慮した造り込み。区下の茎上部は、ここで相手の攻撃を受ける太刀打ちとしたものであろう、極端に肉厚く仕立てられている。板目が大きく流れて柾がかる地鉄は、異鉄を交えて地景が躍動し、総体に肌起っていながらも小板目鍛えを交えて地沸が付き、所々に映りが立って凄味があり、戦国時代の同田貫物らしい強靭な風合いを呈する。刃文は焼の浅い不定形な小互の目乱に飛焼交じり。区上やや焼が深く、穂身中ほどは細直刃状になり、物打辺りは再び深く焼かれ、先端は強く乱れる構成。下半は匂口鮮やかに冴えるも、激しい戦闘を想定したものであろう、折損防止のために上半を匂口の沈んだ焼刃としている。物打辺りに鍛え疵があるも、総体に地鉄が綺麗な、状態の良い槍である。
茶叩塗の鞘に堅木柄の、拵が附されている。