Hacho (Edge length) 23㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 2.24㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.51㎝
Price 450,000 JPY
昭和六十年に人間国宝の隅谷正峰師に入門した赤松伸咲(しんさく)刀匠は、それまで備前長舩博物館で学芸員を勤め、数々の名刀を実際に手にとって観察しており、その経験を活かした作刀活動を展開している。新作名刀展では平成二年に優秀賞と新人賞を受賞し、倉敷に鍛冶場を開設した。師より学んだ備前伝と青江伝を得意とし、逆丁子出来の華やかな刃文や互の目乱で人気を博している。
この短刀は、秋草蒔絵が施された短刀拵に収められているお守り刀。鎌倉時代後期の短刀のように安定感のある姿格好で、茎は舟底形。小板目鍛えの地鉄は、地底に細かな地景を伴って肌起つ風をみせ、地沸が付いて一段と古調。二つ三つと互の目が連なり、湾れを伴って抑揚のある刃文構成とし、浅く乱れ込んだ帽子は、先端が小丸に返る。匂口柔らかな焼刃は、刃中に明るい匂を敷き、淡い足がここに広がる態を成して上品。綺麗な仕上がりとなっている。拵は、黒蝋色地に金粉を叢梨子地に蒔散し、さらに金銀粉の盛り上げ蒔絵に朱漆で菊花を、紫漆で桔梗の花を付描した、華やかで上品な合口様式の造り込み。伝統を守りながらも新たな美観を創造する現代職人の、美意識が溢れた作品となっている。