Price 250,000 JPY
松の木陰に止め置かれた源氏の車。姫を訪ね来た光源氏が主題で、その留守模様を美しい空間構成としている。黒漆塗地に霞むような山並みも優しく、初春の景色であろうか所々に若松が背を延ばしている。盛り上げ処理をした表の松樹は色合いを違えた金の蒔絵(まきえ)で、平安王朝美を静かな佇まいとして表している。全面に葵の葉と、源氏(げんじ)香(こう)文を散し配し、一層の美観を高める構成としている。裏面も葵葉と「朝顔」の源氏香文で、いずれも黒地に映える細やかで鮮やかな金(きん)梨子地(なしじ)を所々に塗り施している。