Price 500,000 JPY
研出鮫皮で包むことにより独特の文様を鞘の全面に散らし、影蝶透の鉄鐔を掛けた肥後拵。本作のような歌仙拵の雰囲気を活かした意匠は広く好まれるところ。肥後拵の特徴の一つに寸法の短い刀である点が挙げられる。これは抜刀術に応じたもので、肥後拵の多くは二尺前後の刀が収められている。黒漆を処方して表面を研ぎ出した鮫皮は濃淡色合いに変化があって魅力的。歌仙拵と異なるのは、腰元に印籠刻が施されていない点。影蝶透の鐔は西垣勘四郎写しで、鉄色黒く微細な石目地仕上げで渋い光沢がある。縁は皺革包み、頭は山銅地に山道を切り施した波文図。赤銅地容彫金色絵の蛤図目貫を黒漆塗の鮫皮に茶革で巻き締めている。収められていた刀身は、反りが浅目の精悍な姿のつなぎの形状から、室町時代の幅が広い関物が収められていたと思われる。