Hacho (Edge length) 54.7㎝
Sori (Curvature) approx. 1.4㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 3.09㎝
Saki-haba(Width at tip)approx.2cm
Kasane (Thickenss) approx. 0.67㎝
Price 850,000 JPY
出羽大掾國路は堀川國廣の古参の門人。初め國道と銘し、後に國路と改め、慶長十八年十月十日に出羽大掾を受領。江戸初期の剛毅な気風を表したような沸出来の互の目乱の名品を手掛けた。國路の住まいは二条城や聚楽第に近い西洞院通竹屋町通り下ルで、伊賀守金道、丹波守吉道、越中守正俊など京三品派の優工と軒を連ねていた。彼らと交流した國路は師國廣伝に三品流を採り入れて新境地を開拓。國路の鋒の刃が浅く弛んでやや突き上げて小丸に返る「三品帽子」となるのはそれ故である。
注…國路の脇差は、時代の特徴を示して多くが一尺五寸以内。
この脇差は、所持者の身の丈に合わせて特別に求められた作であろう、江戸初期の、殊に國路の作としては珍しい(注)刃長一尺八寸のすらりと延びた体躯。板目鍛えの地鉄は僅かに流れごころの肌を交え、地景太く入り、地沸が厚く付いて明るい鉄色。刃文は互の目に尖りごころの刃を交え、焼の幅差が高低大きく、焼の高い部分は鎬筋にまで及び、國路らしい銀砂のような沸が厚く付いて刃縁の光も強く、飛焼、湯走りが掛かり、刃境に金線、砂流しが幾重にも層を成し、刃中も眩く輝く沸の粒子で満たされた覇気横溢の構成。帽子は焼を深く残して沸付き、表は小丸、裏は三品帽子。保存状態良好の茎の銘字は常にも増して鑚強く大きく刻され、今尚鑚枕が強く立つ。相州伝上工、志津兼氏に私淑しての作であろう、國路の優質がよく示された脇差となっている。