脇差
銘 伊豫掾源宗次

Wakizashi
Iyo no jo Minamoto no MUNETSUGU


肥前国 寛永頃 約三百九十年前

刃長 一尺三寸三分
反り 四分
元幅 一寸九厘
棟重ね 一分
鎬重ね 二分四厘半
彫刻 表 棒樋掻流し 裏 二筋樋掻流し

金着二重ハバキ 白鞘入

昭和二十九年長崎県登録
特別保存刀剣鑑定書

Hizen province
Kan'ei era (early Edo period, A.D.1624-1644)
about 390 years ago

Hacho (Edge length) 40.3㎝
Curvature approx. 1.21cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 3.03㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.74㎝

Engraving: "Bo-hi" kaki-nagashi on the right face (Omote)
"Futa-suji-hi" kaki-nagashi on the back face (Ura)

Gold foil double Habaki
Shirasaya

Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK

 初代伊予掾宗次は境三右衛門と称し先代正次の次男。天正十二年に鍛冶職であった家を受け継ぎ、慶長十一年に伊予掾を受領すると共に、朝廷より肥前国の鍛冶の棟梁格である掾司頭を拝命している。作風は忠吉系とは異なって相州古作を想わせる沸の深く強い出来を専らとしている。
 戦国期の気風を遺し伝えるこの脇差は、抜刀に適したやや短寸に仕立て、物打を張らせて反り深く先反りをも加え、鎬を高く棟を薄く、樋を掻いて截断の効用を高めた実戦的造り込み。しかも区深く健全な状態。肥前の特質でもある微塵に詰んだ小板目鍛えの地鉄は、所々の地底に杢肌を交え、厚く付いた地沸を切り裂く稲妻のような地景が走り、地中には湯走りから淡い沸映りが広がる。刃文は形状の定まらない互の目乱を基調に、小互の目、小丁子、尖刃、角刃、矢筈刃を交え、物打辺りから乱れが強まって強い湯走りと飛焼が加わり、帽子は火炎状に焼崩れて返り、棟の所々を浅く焼き施している。小沸出来の焼刃は荒ぶることなく、粒の揃った沸の粒子は匂を伴って明るく冴え、長短の足を切るようにほつれ、砂流し、金線、帯状の沸筋を形成、刃中に激しい景色を生み出している。先が細く仕立てられた初代特有の茎には、独特の崩し文字で鏨強く銘が刻されている。

脇差 銘 伊豫掾源宗次脇差 銘 伊豫掾源宗次脇差 銘 伊豫掾源宗次 白鞘


脇差 銘 伊豫掾源宗次 刀身差表切先脇差 銘 伊豫掾源宗次 刀身差表ハバキ上

脇差 銘 伊豫掾源宗次 刀身差裏切先脇差 銘 伊豫掾源宗次 刀身差裏ハバキ上

 

宗次押形