十字架文金具茶潤塗鞘合口短刀拵

"Jujika" mon kanagu cha urumi nuri saya,
aikuchi tanto koshirae


室町時代

拵全長 一尺二分
鞘長 七寸強
柄長 三寸強
刃長 約六寸二分
反り 僅少
茎長 約三寸
元幅 約六分

(刀身はありません)

Muromachi period

Whole length 31cm
Scabbard length approx. 21.2cm
Hilt length approx. 9.1cm
Edge length approx. 18.8cm
Curcature a little
Width at Ha-machi approx. 1.82cm
Nakago length approx. 9.1cm

This koshirae has no sword.

 キリスト教が禁止される以前の、キリシタン武士が所持した短刀拵。桃山時代の特徴でもある南蛮文化の隆盛は、ポルトガルやスペインの商船が伝えた西洋の文物が基礎にあり、同時に大きな影響を与えたのがキリスト教で、西洋との貿易による利益と共にキリスト教を採り入れた大名も多い。
 この短刀拵は、頭と鐺に十字架を意匠した金具を備えている作。目貫と瓦金部分に胴金を嵌め込んで強度を高める工夫が為されている。目貫は橘紋を意匠したものながら、家紋のそれではなく、古金工に間々みられる写実味のある高彫表現で、山銅地に金色絵、銀の露象嵌が施された古風な作。十字架文の縁頭と鐺も山銅地高彫金色絵で、刃方と棟方に小さな釘が打ち込まれて固定されている点が興味深い。江戸時代の拵にはない、古式の固着方法と思われる。キリシタンに関わる極めて資料性の高い作であると同時に、古い拵の製作技法の研究においても価値のある拵である。小柄櫃は設けられているが、小柄が欠落している。

十字架文金具茶潤塗鞘合口短刀拵十字架文金具茶潤塗鞘合口短刀拵

橘図目貫

橘図目貫

十字架図鐺