平造脇差
銘 傘笠正峯作之
平成二年八月日

Hira-zukuri wakizashi
Sanryu MASAMINE kore wo tsukuru
Heisei 2 nen 8 gatsujitsu


隅谷正峯 人間国宝 石川県
平成二年 六十九歳作

刃長 一尺一寸四分五厘
反り 一分
元幅 一寸九厘
重ね 一分六厘半
彫刻 表裏 棒樋掻流し

金着一重ハバキ 白鞘入

『人間国宝 隅谷正峯展』図録所載品(注)

平成二年石川県登録

特別保存刀剣鑑定書

価格 百三十万円(消費税込)

Sumitani MASAMINE
(1921-1998, Ishikawa prefecture)
Living National Treasure
Forged in 1990 (Heisei 2)

Hacho (Edge length) 34.7㎝
Sori (Curvature) approx. 0.3㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 3.3㎝
Kasane (Thickenss) approx.0.5㎝
Engraving: "Bo-hi" kaki-nagashi on the both sides

Gold foil single Habaki / Shirasaya

Put on "Ningen kokuho Sumitani Masamine ten" catalog

Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK

Price 1,300,000 JPY

 隅谷正峯刀匠は、昭和五十六年四月に国重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された現代刀界の第一人者である。古名刀、別けても鎌倉時代の地鉄の再現に努め、昭和四十三年から二十年程の間は自家製鋼に挑み、更に時代を遡って正倉院の蔵刀等、上古刀の地鉄を研究。元号が改まった平成のある日、ふと「昔の刀は和銑から造っていた」との師桜井正幸の言葉が念頭に浮かび、銑卸しに再挑戦し、古刀の再現は鋼のみならず製法にあると強く認識。理論と実践の日々は、やがて爽やかな映り立つ地鉄となって結実したのである。
 この平造脇差は正峯師が得意とした備中青江の逆丁子乱出来で、棟を真に造り、身幅広く重ね控え目に刃先鋭く仕立てられ、棒樋が掻かれ、浅く反りが付いた南北朝期らしい体配。地鉄は小杢目肌が詰み、小粒の地沸が豊麗に湧き立って地肌潤い、繊細な地景が密に働いて縮緬状に肌起ち、鮮やかに現れた映りは焼刃に感応して乱れごころを呈し、自然味がある。逆丁子乱の刃文は、焼頭が匂で尖って高低広狭に変化し、柔らかく付いた小沸で刃縁が明るく、焼刃に伴って逆足が長く射し、葉が浮かび、細かな金線、砂流しが掛かり、匂が充満した刃中も明るい。帽子は乱れ込んで先突き上げて小丸に長めに返る。未だ白銀色に輝く茎には、銘字が堂々と刻されている。古作への想いを胸に日々精進した正峯師の、その到達点が示された優品(注)である。

注…『特別展 人間国宝 隅谷正峯展 日本刀その神秘なる彩り』。作品説 明では「新しい地鉄、それは自然に顕れるがごとき地肌であり、自 然に湧くごとき地肌であり、映りである」と評されている。

平造脇差 銘 傘笠正峯作之 平成二年八月日平造脇差 銘 傘笠正峯作之 平成二年八月日平造脇差 銘 傘笠正峯作之 平成二年八月日 白鞘

 

平造脇差 銘 傘笠正峯作之 平成二年八月日 差表中央平造脇差 銘 傘笠正峯作之 平成二年八月日 ハバキ上

平造脇差 銘 傘笠正峯作之 平成二年八月日 差裏切先平造脇差 銘 傘笠正峯作之 平成二年八月日 差裏ハバキ上

 

 

 

正峯押形