銘 越後守藤原國儔
(良業物)

Katana
Echigo no kami Fujiwara no KUNITOMO
(Yoki Wazamono)


山城国 元和頃 約四百年前

刃長 二尺三寸九分一厘
反り 五分二厘
元幅 一寸三厘
先幅 七分五厘
重ね 二分二厘
金着二重ハバキ 白鞘入

佐藤寒山博士鞘書「出来強迫師域」
伊勢寅彦氏旧蔵
『堀川國廣とその弟子』所載

最上研磨(注①)


昭和二十六年神奈川県登録

重要刀剣

価格 六百五十万円(消費税込)

Yamashiro province
Genna era(A.D.1615-1624, early Edo period)
about 400 years ago

Hacho (Edge length) 72.5㎝
Sori (Curvature) approx. 1.58㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 3.12㎝
Saki-haba(Width at Kissaki) approx.2.27㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.67㎝

Gold foil double Habaki
Calligraphy on the Shirasaya written by Dr. Sato Kanzan
"Deki shi no iki ni tsuyoku semaru"
(It was equal to his master's work)

Owned by Ise Torahiko
Put on "Horikawa Kunihiro to sono deshi"

JUYO 

Price 6,500,000 JPY

 堀川國廣の甥と伝える門人越後守國儔(くにとも)の(注①)刀。國廣一門の蒐集家として知られた伊勢寅彦氏遺愛の一振である。旧旗本家に生まれた伊勢氏は相撲協会映画部主任を務め、相撲好きの佐藤寒山博士や本間薫山博士の指導で鑑刀を学ぶ。國廣の、超然として自らが信ずる鍛刀の道に精進し、さらに優秀な弟子を数多く養成した偉大な人間性と力強い無技巧の作風に魅了された伊勢氏は、國廣の山姥切の刀(重文)や國安、國路、國儔など門人の、出来が優れて資料的な価値の高い作を集めた。
 表題の國儔の刀は伊勢氏を魅了した一振。幅広で重ね厚く、反りやや高く、伸びやかで力強い姿。地鉄は板目に杢、柾気を交えて肌目起ち、太い地景が入って地肌に活力が漲り、飛焼が入り、純白の沸の粒子で覆われて弾力味と潤い感に満ち、加えて堀川物独特の技巧味のないザングリ(注②)と表現される肌合い。刃文は互の目に小湾れ、角がかった刃、尖りごころの刃、二つ連れた互の目を配して僅かに逆がかり、細かな真砂のような沸が厚く付き、細かな金線、砂流しが掛かり、沸足入り、刃中は強く沸付いて照度が頗る高い。帽子は焼深く沸付き、掃き掛けて小丸に長めに返る。錆色深い茎に太鑚で鑚圧強く刻された大振りの銘字は、先へ行って字体が大きくなる國儔の個性が顕著。近くは和泉守兼定、遠くは志津兼氏を想わせる國儔らしい作風。國廣を援け、國貞や國助などの後輩を指導して新刀草創に貢献した國儔の、大きな人間性を感じさせる傑作である。

注①…國廣との合作(和歌山東照宮蔵。重文)がある。

注②…板目肌に杢目や柾目が交じり、鍛え目が粗雑ではないにもかかわらず、地景が盛んに入るために肌が起って見える状態をざんぐりと表現する。柔らかくふっくらとした質感や自然な感じで風味がある様子(京言葉)、大まかである故に趣きが感じられる(茶器鑑賞用語)等を語源とするとの考察がある(伊藤三平氏「ざんぐり考」)が、刀剣の地鉄とは意味合いを異にするようだ。

刀 銘 越後守藤原國儔刀 銘 越後守藤原國儔刀 銘 越後守藤原國儔 白鞘

 

刀 銘 越後守藤原國儔 差表中央刀 銘 越後守藤原國儔 差表切先刀 銘 越後守藤原國儔 ハバキ上

刀 銘 越後守藤原國儔 差裏切先刀 銘 越後守藤原國儔 刀身差表 中央刀 銘 越後守藤原國儔 差裏ハバキ上

刀 銘 越後守藤原國儔

刀 銘 越後守藤原國儔 ハバキ

 

國儔押形