馬上筒 銘 唖鍛冶七郎兵衛作


Bajo-zutsu (matchlock, for shooting on horseback)
Oshi kaji SHICHIRO-BEI saku


摂津国 堺 江戸時代

全長 七五・二センチ
銃身長 四四・九センチ
口径 一・二センチ

平成十五年三重県登録


価格 二十八万円(消費税込)

Sakai city, Settsu province
Edo period

Whole length 75.2㎝
Barrel length 44.9㎝
Caliber 1.2㎝



Price 280,000 JPY

 不安定な馬上で重い火縄銃を扱うのはまさに至難の業である。手綱から手を放して的を射る武術に流鏑馬があるが、火縄銃と弓では重量に大きな違いがあり、実戦での馬上筒の使用にはかなりの制約があったと推定される。戦上手で知られる伊達政宗は馬上から火縄銃を発砲させ、生じた黒煙に紛れて騎馬隊を敵陣に突撃させたという(常山紀談)。馬上筒は、敵を打ち倒すのではなく、騎馬武者の突撃を援護する目的から使用されたのであろう。本作は堺の鉄砲鍛冶で、自ら口が不自由であることを刻した唖鍛冶(注)七郎兵衛の鍛えた馬上筒。八角の銃身上に三ツ柏紋を据えて、先端には八角柑子を備える。松竹梅鶴亀、猪に飛び乗る仁田四郎忠常と菊花や武者を描いた真鍮の飾り金具が特に華やかである。

注…刀鍛冶では耳の不自由な聾長綱(摂州住忠綱門人)がいる。

馬上筒 銘 唖鍛冶七郎兵衛作馬上筒 銘 唖鍛冶七郎兵衛作

火縄銃 銘 摂州住嶌谷喜八郎作

 

馬上筒 銘 唖鍛冶七郎兵衛作