織女(七夕)図小柄
銘 後藤光廣(花押)
後藤喜兵衛家四代目傳乗光廣の、七夕伝説に題を得た小柄。
古代中国の乞巧奠(七夕)は、我が国の風俗や生活と習合し、江戸時代後期には笹飾りが生まれるなど、宮中行事だけでなく庶民のお祭りにまで発展している。
この小柄は、牽牛織女の星物語に擬え、天上の出来事として絵画表現したもの。赤銅魚子地を後藤の掟通りに山高く谷深く量感豊かな写実味のある高彫とし、織女の糸を紡ぐ細やかな手の動き、上品な顔つきまで後藤の作風で精密描写している。
光廣は京後藤中の巧者の一人である。