銘 武蔵大掾是一(初代)
(良業物)

Katana
Musashi daijo KOREKAZU (the founder)
(Yoki Wazamono)


武蔵国 万治頃 約三百六十年前

刃長 二尺三寸四分六厘
反り 五分二厘強
元幅 一寸七厘
先幅 六分七厘
棟重ね 二分三厘
鎬重ね 二分四厘

金着二重ハバキ 白鞘入

本間薫山博士鞘書「万治比 佳作也」

昭和四十一年神奈川県登録

重要刀剣(証明書)

価格 三百八十万円(消費税込)

Musashi province
Manji era (A.D.1658-1660, early Edo period)
about 360 years ago

Hacho (Edge length) 71.1㎝
Sori (Curvature) approx. 1.58㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 3.24㎝
Saki-haba(Width at Kissaki) approx.2.03㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.73㎝

Gold foil double Habaki
Calligraphy on the Shirasaya
written by Dr. Honma Kunzan

JUYO *certificate

Price 3,800,000 JPY

 備前一文字の流れを汲む武蔵大掾是一は近江国蒲生郡石堂の出身で、名を川上左近という。伝家の秘術を携えて江戸(注①)に下り、近世における備前伝鍛冶として大成し、幕末明治時代まで活躍した是一家の礎となっている(注②)。当時、和泉守兼重、大和守安定、法城寺正弘、長曽祢虎徹など、沸を強く意識した互の目出来の作を得意とする優工が並び立つ中で、乱映りの立つ地鉄と華麗な丁子乱の作で異彩を放った。しかも『新刃銘盡』巻四で「至極の業物」と評されている程に刃味が優れたことは特筆に値しよう。但し今日見る遺作の多くが脇差で、刀は稀(注③)である。
 この刀は身幅広く重ね厚く、反りがやや深めの中鋒とされた洗練味のある姿。地鉄は小板目肌に柾を配して詰み澄み、刃に沿って黒映りが、鎬寄りに霧の流れ掛かるような映りが立ち、この黒と白の織り成す景色たるや自然味溢れる最高の美観。丁子に互の目、尖りごころの刃を交えて逆ごころを帯びた刃文は小沸が付いて匂口きっぱりと冴え、刃中に立ち込めた匂が昂然と輝き、焼刃が冴え冴えとしている。帽子は浅く弛んで小丸に返る。茎の保存状態は良好で、化粧鑢の施された筋違鑢に鑚強く堂々と刻された銘字には鑚枕が立つ。武蔵大掾是一の優れた技量が存分に示された同作中の傑作である。

注①…山田浅右衛門の押形に「江戸市谷ニテ作」と銘した寛文六年午ノ三月吉日紀の脇差があり、市ヶ谷界隈の居住と推考される。因みに同じ石堂派の光平は赤坂に住んでいたことが知られている。

注②…門人に筑前国福岡を拠点とした是次がいる。『銀座情報』四一三号に七代是一とその子光一の合作刀を掲載。

注③…在銘の是一より大磨上無銘の備前一文字に見える刀の方が高く評価された時代が長く続いた故であろうか。

刀 銘 武蔵大掾是一(初代)刀 銘 武蔵大掾是一(初代)刀 銘 武蔵大掾是一(初代) 白鞘

 

刀 銘 武蔵大掾是一(初代) 差表中央刀 銘 武蔵大掾是一(初代) 差表切先刀 銘 武蔵大掾是一(初代) 刀身差表 ハバキ上

刀 銘 武蔵大掾是一(初代) 差裏切先刀 銘 武蔵大掾是一(初代) 差裏ハバキ上刀 銘 武蔵大掾是一(初代) 差裏ハバキ上

 

刀 銘 武蔵大掾是一(初代) ハバキ

 

是一押形