刀 銘 正宣 奥州鎮撫 川村平輝明帯之
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幕末維新期には興味深い切付銘入りの刀(注@)がある。例えば、慶應二年二月日、吉田清三郎清則の需で打たれた備前長舩祐包の刀に「於関奥羽大物切」の銘があり、戊辰戦争での奮戦ぶりが示されている(『銀座情報』百七十二号)。表題の刀は、名工左行秀(注A)門の正宣(まさのぶ)の(注B)精鍛作で、土佐藩士川村輝明が本刀を帯びて奥州鎮撫隊に加わった事が切銘されている。板垣退助率いる土佐藩兵は東山道の要衝甲府城を制した後、奥州へ進み、棚倉城、磐城平城、三春城を接収。仙台藩が降伏すると会津へと兵を進め、激戦を展開した。川村輝明も隊の一員として異郷の地を転戦している。 注@…天正元年八月日紀の備州長舩祐定の刀は「嘉永癸丑冬奉命赴相州鎮衛工削之以利戦闘」(『銀座情報』二百六十二号)の切付銘からペリーの再来航に備えた武士の決意と覚悟が明示されている。 |
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