脇差
銘 近江守高木住助直 (良業物)

Wakizashi: Signed. Omi no kami Takagi ju SUKENAO (Yoki Wazamono)

近江国‐摂津国
延宝頃

刃長 一尺九寸一分四厘
反り 四分五厘
元幅 一寸一分
先幅 七分八厘
棟重ね 二分三厘
鎬重ね 二分三厘強
金着二重ハバキ 白鞘入

昭和三十年長野県登録

重要刀剣

Omi province - Settsu proivince
Enpo era (A.D. 1673-1680, early Edo period)

Hacho (Edge length) : 58cm
Sori (Curvature) : Approx. 1.36cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 3.33cm
Saki-haba (Width at Kissaki) : Approx. 2.36cm
Kasane (Thickness) : Approx. .0.7cm

Gold foil double Habaki
Wooden case (Shirasaya)

Juyo

 近江守助直は、師越前守助廣没後の大坂刀工界において、その感性と技術を受け継いだ鍛冶職の中核。生まれは助廣よりわずか二年遅い寛永十六年。近江国高木村から大坂に出て作刀を極め、延宝年間に助廣の妹を娶って郷里に鍛冶場を設けた。師の没後は再び、職方が軒を連ねていた大坂の鑓屋町に移り住んでいる。師風に独創を加味した濤瀾乱や湾刃を得意とし、特に清浄なる沸の美観を高めた数々の名品を遺している。
 延宝三年頃の作と鑑られるこの脇差は、妻を娶って気持ちも新たに作刀に励んでいた頃の優品。寸法が延びて身幅も広く、中鋒延びごころに反り格好もバランス良く、重ねは尋常ながら総体にたっぷりとした感があり、区深く残されて勢いがある。極上質の鋼を選別して素材とした小板目鍛えの地鉄は、微妙に質の異なる鉄を均質に織り交ぜたものであろう、縮緬織りのように揺れる肌と流れるような肌を秘めており、細い地景が肌目に沿って入り組み網状に全面を覆い、強みと動きが感じられ、これに伴って微細な地沸が働いて沸映りのように淡く輝き、その鎬筋の所々に淡い飛焼による星が現れている。刃文は湾れに足が盛んに射す互の目交じりで、帽子は先端に小沸が凝り掃き掛けを伴う小丸返りとなる。小沸の粒子が金粉蒔絵のように綺麗に揃い、しかも明るく際立つ焼刃は、湾れと互の目によって広く狭くと抑揚があり、刃縁は小沸のほつれが茫々と流れ掛かり、さらに刃先に向かって匂と小沸が一体となって広がる。この明るい刃中に、鋭く屈曲する稲妻状の金線が走り、物打辺りには沸筋が流れ、元から鋒に至るまで淡い刃肌が現れてこの脇差の大きな魅力となっている。化粧鑢の施された茎には、鑚強く謹直な銘が刻されている。