銀座長州屋 刀剣用語解説集
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No.1 合口(あいくち)

 合口拵(あいくちこしらえ)とも言う。鞘の鯉口と柄の縁が、ぴったりと合うように造られた鐔のない拵を特に合口拵と称する。一般的に短刀と合口とを混同される場合が多い。短刀拵に合口が多いので、こう呼ばれるようになったと思われるが、室町期の打刀にも、わずかであるが合口拵が見られる。

索引【あ】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:22

No.2 藍鮫皮(あいざめがわ)

 乾燥した鮫の皮には硬く小さな突起物が無数に生じているところから、この皮は柄部に巻き着けて滑り止めに用いられ、また突起物や皮の模様が多彩なところから鞘の装飾としても利用された。藍鮫とはツノザメ科に属する小形の鮫で、体は灰色もしくは褐色、鮫皮の中でも薄藍色の皮は、その特徴ある色あいから主として鞘の装飾素材に用いられている。

索引【あ】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:23

No.3 相槌(あいづち)を打つ

 相鎚(あいづち)とも書く。 相手の話に調子を合わせること。鍛冶が鉄を鍛えるとき、師弟は向かい合い、師の打つ鎚に合わせて交互に弟子が鎚を打つ(向かい合い鎚、あいのつち)。ここから出た言葉。

索引【あ】 分類[比喩表現] 登録日-2002/06/17 15:25

No.4 葵形鐔(あおいがたつば)

 四片の葵の葉を意匠した鐔で、赤銅魚子地とし、耳と縁に金色絵を施した金小縁の作が多い。鐔を挟むように両面から大切羽と称する金具を組み合わせて一体の鐔とし、さらにその両側には金の菊花形小切羽、赤銅地の菊花形小切羽、再び金の小切羽と、順に三種類の切羽を装着して豪華さを強調している。

索引【あ】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 15:33

No.5 葵紋(あおいもん)

 銘文と共に茎に刻された紋所の一種で、葵紋は初代康継にはじまる。初代康継が徳川家康と秀忠に技術を認められて家康より康の一字を賜り、同時に茎に三葉葵紋を切ることを許されたものであり、熱田神宮に遺されている康継奉納の脇差に『両御所様ヨリ召シ出サレ武州江戸ニ於テ御剣ヲ作ル御紋康之字下サレ・・・越前康継』と切られていることにより明らかとなっている。一葉葵紋を切る刀工には、薩摩国の主水正正清と主馬首一平安代、筑前国の信国重包等がいる。

索引【あ】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:28

No.6 青江帽子(あおえぼうし)

 匂い出来の刃文が横手筋あたりから棟側に急に傾くようにたるみ、尖りごころに返るという青江鍛冶独特の形状の帽子であるところからこの呼称がある。吉次・貞次・次直・次吉など同国南北朝期の作に多く見られ、また次直には返りがやや長くなるものがある。

索引【あ】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:29

No.7 青貝(あおがい)

 和名アオガイ。本州・四国・九州に分布するユキノカサ科の巻貝。その殻の内側は青味を帯びた虹色の光沢を持つため、古来装飾品の材料として用いられている。細かく砕いた貝殻を鞘の表面に貼り付け、研ぎ出して仕上げた鞘を青貝微塵塗鞘。やや大きめの貝殻を図に添えて嵌め込んだものを青貝螺鈿。なお、青貝の他にアコヤ貝、アワビなども装飾品の材料として利用されている。

索引【あ】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:30

No.8 青貝象嵌(あおがいぞうがん)

 金工作品の図柄を描く数多い素材の中でも、珊瑚・翡翠・七宝・青貝等は金属とは趣を異にする華やかさがある。青貝や鮑等の貝殻を用いて、その虹色の鮮やかさを鞘等の工芸品に再現する技法は螺鈿と呼ばれるが、刀装小道具にこの手法を用いた例は極めて少なく、技術的にも表現力においても難かしい素材であることが判る。村上如竹及び一門の作品にこの例をみる。

索引【あ】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 15:31

No.9 障泥形鐔(あおりがたつば)

 撫角形鐔の変形で、上部の横幅より下部がいくぶん幅広に造られた、角の丸い台形状の鐔のこと。障泥とは馬具の一部で、泥よけとして馬の胴にかぶせる革具のことをいい、鐔の形状がこの障泥に似ているところからの呼称である。安親の時代よりみられ、撫角形や木瓜形などと区別がつきにくいほどに差異の小さな作、あるいは障泥木瓜形と称する作例もある。

索引【あ】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 15:32

No.10 赤坂鐔(あかさかつば)

 江戸開府に伴い、寛永頃に京より(一説に尾張)江戸に進出し、赤坂に住したことによってこの名がある。尾張鐔の強さに京透の優美さを融合させた鉄味良好の厚手丸耳仕立てとされ、洗練味ある透し彫が特徴で、多くはこれに力強い毛彫が施されており、図案が粋で垢抜け、斬新であったところから一躍有名になった。時代の上る作の中には、鍛錬の際に生じた顕著な層状の鍛え肌が耳の周囲や茎櫃に確認される作があり、これを三枚鍛えと呼ぶ。

索引【あ】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:34

No.11 足(あし)

 刃文に現われる働きのひとつ。刃縁から刃先に向けて沸や匂いが線状に連らなる模様。短いものを小足、特に短いものを鼠足、切先に向かって入るものを逆足、丁子の花のように見えるものを丁子足と呼ぶ。また刃縁につながらず、離れて刃中に現れるものを特に飛足と呼び、その特に短いものを葉と呼ぶ。


索引【あ】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:35

No.12 足金物(あしかなもの)

 太刀は刃を下に向けて腰に吊るす形態、つまり佩用するもので、この際に腰に巻き着ける太刀緒と刀身の鞘をバランス良く固定する為の金具の一つ。総体の金具類と作を同じくし、多くは赤銅魚子地に家紋を高彫あるいは据文象嵌した図柄とされており、鞘の堅牢性を高めるという用途上の他、拵の優麗さを高める上でも重要な位置にある一対金具である。

索引【あ】 分類[その他] 登録日-2002/06/17 15:35

No.13 足革・太鼓革・革先金物(あしがわ・たいこがわ・あしかなもの)

 足革は、太刀緒と足金物を繋ぐためのもので、鞣し革を芯にして柄や渡巻と共布の錦包とされ、特にその中ほどを丸い形状の太鼓革にてゆるみがないよう固定している。太鼓革には家紋の入れられた丸い金物が据えられ、これを太鼓金(紋金)と称し、また足革の先端には舌状の金具が付けられており、これを革先金物と称する。

索引【あ】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:36

No.14 足長丁子刃)あしながちょうじば)

 刃文の名称。丁子刃は、その形状により数種類に分けられ、特徴のある名称がつけられている。小丁子、拳形丁子、互の目丁子、重花丁子、逆丁子などがその代表例である。足長丁子刃は、一見互の目風の華やかな頭の揃った丁子刃であるが、特に足(刃中の働きの一つで、刃縁から刃先に向かって細く入るもの)の長いものをいう。新刀、新々刀期に多く、大阪の一竿子忠綱に代表される刃文でもある。

索引【あ】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:38

No.15 虻の目(あぶのめ)

 二代忠広以降の肥前刀の互の目乱刃に見られる特徴的な刃文の一種。乱刃の頭が深くかつ丸味を持って焼かれ、玉状となり、その近接した二つが昆虫の目玉を思わせるところから虻の目に擬され、このように呼ばれている。

索引【あ】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:39

No.16 阿弥陀透(あみだすかし)

 鐔の図柄に用いられる独特の透し模様の一種で、阿弥陀如来像の背後に描かれる光背をイメージさせる放射状の透し模様のこと。車透しと同様に、切羽台と耳を細鉄で繋いだ工法のものや、細い透しを切り施した工法のものとがあるが、車透しに比較して透しの間隔の狭い作を阿弥陀透と呼んで区別している。

索引【あ】 分類[その他] 登録日-2002/06/17 15:40

No.17 阿弥陀鑢(あみだやすり)

 鐔の表面に施された装飾的鑢模様の一種。鐔の中心から放射状に細い線を刻み込んだ様子が、阿弥陀如来の背にみられる後光を思わせるところからの呼称。古い時代では信家に例を見るが、線の長さや幅がそろわず荒さが感じられ、古雅な雰囲気を感じさせるものが多い。後光の線刻をきれいにそろえて放射線を描いたものを日足鑢として区別することもあるが、基本的には同形態の模様である。

索引【あ】 分類[その他] 登録日-2002/06/17 15:41

No.18 綾杉肌(あやすぎはだ)

 地肌の名称。柾目が大きく波を打ったような形状で、綾杉の木地に似ているところからこう呼ばれる。地鉄の鍛え目は各流派によって異なり、大きく分けて六種類ある。梨地肌(小杢目)、柾目肌、板目肌、杢目肌、杢目に柾目まじり、綾杉肌がそれで、一般に刀はこれらが複合化した地肌を持つ場合が多い。綾杉肌は奥州月山一派に見られるので、別名月山肌というが、薩摩の波平系にも多く見られる。

索引【あ】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:42

No.19 荒沸(あらにえ)

 焼刃を形成する組織の状態の一つ。焼入れの際の急激な温度低下により、鉄の組成が物理的変化をしたもの。刃文はキラキラと光る白い微粒子によって構成されており、この肉眼で確認出来ない程の小さな粒子の集合を匂いと称し、確認できる大きさのものを沸と称する。特に粒子が金砂子を蒔いたように大きいものを荒沸と称する。一般的に沸と匂いは複合した状態で存在するが、沸が単独で存在するものは裸沸、また荒沸が部分的に集中するものをかずのこ沸などと呼ぶ。匂いの複合した焼刃でも、主に匂いにより成り立つものを匂い出来と呼び、沸本位なものを沸出来と呼ぶ。

索引【あ】 分類[刀剣] 登録日-2002/07/04 16:43

No.20 有の実肌(ありのみはだ)

 備前国長光の地肌を形容する言葉。板目肌が良く詰んで地沸が付き、その様子が有の実(梨の実のことで、無しに音が通ずるのを忌み、このように呼ぶ)を切った面のように潤った状態であるところからの呼称。肥前刀等では梨子地肌あるいは小糠肌と称するが、長光の地肌を形容する場合にのみこのように表現された。室町末期の三好下野入道の口伝。

索引【あ】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:44

No.21 合せ鍛鐔(あわせぎたえつば)

 一塊の金属や地板から一枚の鐔を造り出す丸鍛などに対して、複数の素材を鍛え合わせて一枚の鐔を造り上げる方法を合せ鍛えと称する。刀剣の合せ鍛えは強靭さを追求する技術だが、鐔の場合にはさらに美観を高める意味もある。鐔表面にグリ彫などの彫刻を施すことにより、彫り下げた部分に層状の模様を表わす方法がこれによるもの。また、異金属を加えて折り返し鍛錬を施すことにより、地面に鍛え肌を顕著に表わす手法もある。

索引【あ】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 15:45

No.22 沃懸地(じいかけ)

 太刀拵などの装飾として用いられた金蒔絵の一種で、平安から鎌倉期の飾剣(かざだち)に例を多く見るが、その手法は近代まで続いている。金粉や金泥を、装具の表面に緻密に時いたり塗り固め、その後研ぎ出したものを指し、沃懸地に螺鈿を加えた沃懸地螺鈿、また金属の薄片を併せ用いた沃懸地平文など、華美あふれる技法で装剣具を引き立たせた作もある。

索引【い】 分類[その他] 登録日-2002/06/17 15:47

No.23 烏賊の頭(いかのあたま)

 丁子乱の焼刃に現れる特異な刃文を形容する言葉。激しく乱れた互の目丁子の頭の一部が尖って深く焼かれ、中間が左右に脹らんだ様が烏賊の頭(実際は腹部に当たる)をイメージさせたところからの呼称。福岡石堂と呼ばれる是次・守次がこの焼刃をものにする代表工。

索引【い】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:48

No.24 厳物造太刀(いかのあたま)

 厳しく造られた太刀という意味があるように、華美な装飾かつ豪壮な造りとされている兵仗の太刀拵を総じてこのように呼ぶ。兵庫鎖太刀がこの代表例で、武士階級の台頭を基礎にした中世日本文化の発展と共に流行した。柄と鞘を金属板で包み、佩緒や猿手を鎖製にするなどいかにも堅牢で、しかも緻密な彫刻を施した覆輪や足金物があまりにも派手なところから、鎌倉時代には佩用の禁止や身分による制限令も出されている。

索引【い】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:49

No.25 猪首切先(いくびきっさき)

 猪の首のように短く詰った切先をいう。鎌倉期の太刀(一般的に長寸で反りが深く、厚い重ねに身幅が広く元幅と先幅の差が小さい豪壮な作柄)に見られるもので、外敵蒙古の襲来に備えて堅いものを断ち斬るために作られた体配である。しかしこの短い切先では一度の刃こぼれでさえ研ぎ直しがきかないため、貞応から弘安までのわずか五十数年で姿を消している。

索引【い】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:50

No.26 石突金物・責金物(いしづきかなもの・せめかなもの)

 鞘尻の保護の目的で装着された金具を石突金物といい、太刀拵の場合は多く赤銅地が用いられる。責金物も同様に、鞘の保護のために鞘の中ほどに装着し、柏葉と称する装飾金具が付けられている。石突金物にも装飾と堅牢性を高める目的から刃方にのみ金具を長くした芝引きと称する作り、また棟方にも金具を延ばした鍬形の作もあり、特殊な例では、この金具を鞘全体に装着した長覆輪造りもみられる。

索引【い】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:51

No.27 石目地塗(岩目地)

 鞘の表面などに施される地紋の一形状。石や岩の肌に似せた細かい砂状の粒子模様に仕上げた手法で、すべり止めや艶消しの効果がある。

索引【い】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:52

No.28 板目肌(いためはだ)

 地肌の名称。地鉄の鍛え目が木材を削った際に見られる板目のような模様を呈するもの。純然たる柾目肌を除いて日本刀はほとんどこの肌合を持つ。板目の中でも大きめの肌を大板目肌と称し相州伝に多く見られ、小板目肌は地鉄が細かく詰んでいる状態を表わしている。

索引【い】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:56

No.29 一乗式木瓜形鐔(いちじょうしきもっこうがたつば)

 幕末に流行した木瓜形鐔の一形式で、四隅の切り込みがごく浅く、優美な曲線により形造られている。後藤一乗一派が得意として製作したところからこの呼称があり、その他加納夏雄一派にも優品がみられる。

索引【い】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 15:58

No.30 一分刻鞘(いちぶきざみざや)

 打刀拵など実用的意味合いの強い外装形式の鞘にも実用の妨げにならぬ程度の様々な装飾が施されており、ことに鞘の表面模様は多様性を極めている。中でも円周方向に一分(約三ミリ)幅の刻み模様を施した鞘は美観のみならず帯刀の際の滑り止めの効果がある。鞘の腰部(鞘口から下方へ五〜六分)の間のみを刻み模様とした形式は腰一分刻み鞘と称し、肥後拵などに多くみられる。同様に三分刻み・五分刻みの鞘も多い。

索引【い】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 15:59

No.31 一枚帽子(いちまいぼうし)

 切先部分の焼刃の名称。切先全体(横手筋付近まで)が焼刃になっているものをいう。切先の焼刃を帽子(鋩子)と称し、刀匠の技量、特徴が顕著に現われるところで、鑑定上最も大切な部分である。切先の焼刃は古刀期では乱れが、新刀期では直刃調が多い。特に一枚帽子は実戦の多い古刀期に多くみられる。最も損傷しやすい切先の焼刃を深くすることにより、研ぎ直しを可能にするという実用への配慮から考え出されたものであろう。

索引【い】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 17:41

No.32 一葉葵紋(いちようあおいもん)

 享保四年(一七一九)、将軍吉宗は老中久世大和守重之に命じて諸国から著名刀工を芝浜御殿に呼び寄せ、自らの佩刀を鍛えさせた。これは同時代の軟弱化傾向に対して尚武の気風を高めるための政策でもあった。この結果、薩摩国正清・安代、筑前国信国重包、紀伊国四代重国の四名の作刀技術が優れていることが認められ、四工は一葉葵の紋を賜り、茎にこれを切ることを許された。

索引【い】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 17:42

No.33 糸透(いとすかし)

 江戸時代中期以降、主に武州伊藤派の鐔工によって試みられた図柄の表現方法。極めて小さな穴を鐔の表面に穿ち、針のように細い鉄鋸を通し、図形にそって切り進め、図柄を陰の透しにする手法で、その模様が糸のように細いところからこの名称がつけられた。一般には他の彫刻や象嵌が併用されることにより表現効果の増大と表現域の拡大がはかられている。

索引【い】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 18:22

No.34 糸巻形鐔(いとまきがたつば)

 木瓜形鐔の変形と見られる糸巻に似た形の鐔を指し、上下左右の四方が尖り、斜方向がなだらかな曲線を描いて内側にへこむ形状(トランプのダイヤの形に近似)、また角部が丸味を持ち御多福状となったものを糸巻木瓜形鐔と称する。糸巻木瓜形の中ほどが特に左右に張った形状は立身木瓜形と呼ばれ、りっしんべんを図案化しているともいわれ、立身出世に音が通じているところから好まれて用いられた。

索引【い】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 18:23

No.35 糸巻太刀拵(いとまきたちごしらえ)

 この刀装の基本様式は鎌倉時代に始まり、鞘の上部を柄糸と同じ糸で渡り巻にしたもので、桃山時代以降は主として大名の儀式に用いられた。赤銅地の金具に定紋を入れ、金梨子地塗の鞘にも同じ紋を蒔絵したこの様式は、刀装の中でも最も華美で格調が高く、武家の権力の象徴とも見られたもので武家太刀拵とも呼ばれている。

索引【い】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 18:25

No.36 稲妻(いなずま)

 焼刃の中に現れる働きの一種。刃中の鍛え目に沿って沸や匂いを切り裂くように黒く光る細い線状の模様が現れることがある。その形状が沸や匂いの雲間を走る屈曲した稲妻の閃光に似ているところからこのように呼ばれる。金線や地中の地景と同性質の働き。

索引【い】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 18:25

No.37 犬まねき(いぬまねき)

 鐺に穴を穿ち、革緒を通して結び、後方に二寸ほど垂らしたもので、鎌倉時代から絵画等に散見されるが、室町時代の短刀拵にも見受けられる。鞘尻にゆれる革緒に犬がじゃれついたところからの呼称であろう、往時の街中の様子が想像される。本来の用途は、刀身を鞘より抜く際に鞘が帯より抜け出ぬよう、下緒をこの犬まねきの革緒に通して結び留めたものである。

索引【い】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 18:26

No.38 猪目(いのめ)

 建造物から身近な器物まで広くみられるハート形に似た文様のことで、これが猪の目に似ているところからの呼称。奈良時代の遺物にみられ、さらに古墳時代の倒卵形鐔にもこの文様があり、最も歴史の古い文様の一つといえよう。多くの場合、器物や飾り金具の要所に刳り貫き模様とされ、刀装具においても、木瓜形鐔の四方に小透しとして施されることが多い。小柄の緒通しの穴がこの形とされた例もみられる。

索引【い】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 23:16

No.39 芋継(いもつぎ)

 目貫にのみ見られる図柄の表現技法。複数の金属材料で図像の各部分を形造り、これを鑞付けで接合することにより図柄を構成させる。表からでは判然としない場合が多いが、裏面に異金属の接合部が表われるところから判断され、主に金無垢地と他の素材を用いて連結表現する場合にこの方法がとられる。

索引【い】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 23:18

No.40 芋の蔓(いものつる)

 薩摩刀によく見られる刃文で、沸のさかんな刃中に金筋や砂流しが連続的あるいは断続的に現われ、その形状が芋の蔓を思わせるところからこう呼ばれる。鑑定歌に次のような歌がある。「先張りて先反り深き薩摩物芋の蔓とも見ゆる金筋」この豪壮な刃文を持つ刀を、薩摩武士が好んで用いたものであろうことは大いに想像がつく。

索引【い】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 23:18

No.41 入子鞘(いれこざや)

 拵用の鞘は実用に供する為、内部に埃や油錆等が溜りやすく、また、表面が漆塗等の加工が施してある為、白鞘のように割鞘をして内部を掃除することが困難である。これにより、刀身を直接収納する内鞘と、これを収める外鞘の二重構造とした入子鞘が考案された。この構造であれば掃除の必要が生じた場合には外鞘を傷付けず、内側の鞘を抜き出すだけで取りはずしが可能となるところから、刀身の保存には最適である。


索引【い】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 23:20

No.42 色絵(いろえ)

 本来は彩色を施した日本画のことだが、金工芸術では色彩の異なる金属を用いて図柄を描いたり彫像に彩色する方法全般をいい、特に鍍金のことを指す。他にもかぶせ・着せ・うっとり・焼付などその技法により多種あり、その色合いは渋い地金に華麗さを現すと共に雅味をも醸し出す。江戸時代の金工師が好んで用いた。

索引【い】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 23:20

No.43 印銘(いんめい)

 金工師は自らの作品に、自作を証明する目的から銘や花押を記すと同様に印判を押したような形状の銘を刻した。その多くは切銘した篆書体(てんしょたい)あるいは隷書体(れいしょたい)に金象嵌を施して印形を表現している。時代の下がる作品では銘文も美術的要素の一つとして図柄と調和させる配慮がなされており、金工の苦心のほどが知られる。


索引【い】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 23:21

No.44 陰陽根(いんようこん)

 目貫の足は一般に角柱形・円柱形であるが、後藤家上代の作には稀に表の目貫の足を円筒形にされた例がある。この対となった形状を陰陽根と称するが、上古時代に目貫が目釘として用いられていた頃の名残りとも考えられている。

索引【い】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 23:22

No.45 印籠刻鞘(いんろうきざみざや)

 鞘の装飾性を高めるため、一定の幅で鞘の表面に刻み模様を付ける手法がとられることがある。中でも間隔の広い刻みは、分割された印籠の刻み方に似ているところから印籠刻鞘と呼ばれている。また鯉口から栗形付近までのみ刻んだものを腰印籠刻と呼び、肥後拵の鞘に多く見られる。印籠刻よりさらに細かな刻みは一分刻或いは五分刻などと、幅の大きさにより区別している。

索引【い】 分類[刀装] 登録日-2002/06/17 23:23

No.46 浮彫(うかしぼり)

 刀身彫刻を立体的に表現するためには高肉彫が最も効果的であるが、金工作品とは異なり鞘に納める都合上、或いは斬り込んだ刀身の通り抜けの面からも平地の表面より図柄が高くならないよう工夫されている。浮彫とは、刀身の一部を櫃状或いは額状に鋤き下げた中に主題を彫リ、しかもその高肉部を刀身表面と同じ高さで平面状とするところから、あたかも平地に彫刻が浮き出ているかのように感じさせるもので、梵字浮彫の例が多い。

索引【う】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 23:24

No.47 薄肉彫(うすにくぼり)

金工作品に施される彫刻の一技法。鋤下げと鋤出しを併用した技術で、地面よりわずかに高く図像を表わし、表面には色絵を施したり片切彫を加えて主題の立体感や力感を強調させることが多い。高彫に比較して図像が低いところからこのように呼ばれる。

索引【う】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 23:27

No.48 渦巻肌(うずまきはだ)

 大板目主調の地鉄に現れた年輪状の杢目肌が、長楕円形にならず同心円を描いて渦巻く流水を思わせるところからこのように呼ばれる。新々刀期では大慶直胤の相州伝を試みた作に例を見る。

索引【う】 分類[刀剣] 登録日-2002/06/17 23:28

No.49 打返小捻(うちかえしこびねり)

 鐔の耳部(外周)を整形するに当たり、周囲を槌で打つことにより耳際を厚く仕立て、その内側をわずかに鋤き下げる整形方法を打返鋤残耳或いは鋤残耳と呼ぶ。また打ち返した外周部の厚さを不規則な凹凸状としたものを打返小捻或いは単に小捻と称するが、鐔の表現において多くの技法を併せ用いるのが常である。


索引【う】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 23:29

No.50 打返鋤残耳(うちかえしすきのこしみみ)

 鐔の耳は図柄や構図に合わせて造形的な処理がなされていることが多く、打返耳・土手耳・鋤残耳等がその例。打返し鋤残耳は、耳を外周から叩いて肉厚にし、さらに地面を鋤き取って耳の造形に変化を持たせたもので独特の趣が感じられる。耳を打ち返して鋤残し、さらに二重耳風に仕立てて美感を高めている作もある。

索引【う】 分類[刀装具] 登録日-2002/06/17 23:30



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