銘 井上和泉守國貞
(井上真改同人)
 (菊紋)寛文九年八月日

摂津国 寛文 353年前 39歳作 大業物
刃長二尺三寸五分二厘
反り 三分三厘
元幅 一寸四厘強
先幅 七分三厘
棟重ね 二分四厘
鎬重ね 二分三厘
金着二重ハバキ 白鞘入
昭和27年群馬県登録

重要刀剣


Settsu province / Kanbun 9 (A.D. early Edo period)
353 years ago, Work at his 39 years old

O Wazamono

Edge length: 71.7cm
Curvature: 1.0cm
Width at Ha-machi: 3.18cm
Width at Kissaki: 2.23cm
Thickness: 0.73cm
Gold foil bouble Habaki / Shirasaya

Juyo

 

刀 銘 井上和泉守國貞(井上真改同人) (菊紋)寛文九年八月日

 

刀 銘 井上和泉守國貞(井上真改同人) (菊紋)寛文九年八月日 刀身差表切先刀 銘 井上和泉守國貞(井上真改同人) (菊紋)寛文九年八月日 刀身差表 中央刀 銘 井上和泉守國貞(井上真改同人) (菊紋)寛文九年八月日 刀身差表ハバキ上

刀 銘 井上和泉守國貞(井上真改同人) (菊紋)寛文九年八月日 刀身差裏切先刀 銘 井上和泉守國貞(井上真改同人) (菊紋)寛文九年八月日 刀身差裏中央刀 銘 井上和泉守國貞(井上真改同人) (菊紋)寛文九年八月日 刀身差裏ハバキ上

太刀 生ぶ茎無銘 古波平 ハバキ

井上和泉守國貞は寛永八年(注)大坂の生まれ。堀川國廣門に学んだ父和泉守國貞初代の指導で頭角を顕し、十代後半からすでに完成度の高い作品を遺している天才の一人。父の没後に和泉守國貞二代を継ぎ、寛文十二年八月以降に井上真改と改銘、深々としてしかも明るく煌めく沸による美しい刃文と刃味が優れた刀を手掛け、津田越前守助廣と人気を二分した名工である。
 この刀は心技体が充実した三十九歳の作で、身幅広く重ね厚く、反りを控えて中鋒の洗練味のある姿。地鉄は小板目に小杢目を交えて詰み、地沸が厚く付いて肌目が潤い、鉄色は一際晴れやか。刃文は浅い湾れを主調に互の目、角がかる刃を交えて奔放に変化し、刃縁に降り積もった純白の沸の一部には、正宗の雪の叢消えの如き沸が密集して照度抜群に高く、さらに金線、砂流しが掛かり、刃中にも細かな沸の粒子が充満して冴える。帽子は焼深く小丸に形よく返る。保存状態が優れた茎の、万治四年勅許の十六葉菊紋と銘字が美しく、寛文九年八月の裏年紀も貴重。地刃溌溂として出来優れ、真改國貞らしい沸の美に満ちた傑作となっている。

注…『重要刀剣等図譜』の説明には「地刃の冴えにはこの工ならではのものがある」「同作中の佳品」と賞されている。