拵全長 三尺二寸三分四厘
鞘長 二尺四寸五分五厘
柄長 七寸三分九分
つなぎ刃長 約一尺八寸七分一厘
反り 約四分
元幅 約九分五厘
先幅 約六分七厘
棟重ね 約二分三厘
鎬重ね 約二分五厘
茎長 約六寸八分九厘
刀身はありません
特別保存刀装鑑定書
Whole length:approx. 98cm
Scabbard length: approx. 74.4cm
Hilt length: approx.22.4cm
Tsunagi-Hacho (Edge length): approx. 56.7㎝
Curvature (Sori): approx. 1.2cm
Motohaba (Width at Ha-machi): approx.2.9㎝
Sakihaba (Width at Kissaki): approx. 2.05cm
Kasane (Thickness): approx.0.77㎝
Nakago length: approx. 20.9cm
見栄え優れた肥後打刀拵。唐草文が茶石目地塗に黒く染め抜かれたように描かれた鞘には、裏瓦が角で据えられて肥後拵の掟通り。拵を装う赤銅魚子地の一作金具には、合計二十一個の五三桐紋が彫られ、縁の金が漆黒に鮮やかに映える。鐔は菊花形の造り込みに桐文の透かしで、茎櫃に神吉の掟の鑚が歴然とし、これを挟む銀切羽も生ぶ。柄を包む白鮫皮は健全で、緩みなく巻かれた草色の革巻も制作時当初のもの。目貫の耳長兎は眼に力籠って猛々しく野性味を感じさせて存在感があり、拵の雰囲気を引き締めている。栗形は鞘口から指三本程の所に位置し、鞘を握るや否や抜刀が可能。
つなぎから収められていた刀身は、身幅尋常で反り浅く中鋒の、操作性優れた戦国期の片手打の刀と鑑られ、二尺四寸五分五厘の鞘に対し、刃長一尺八寸七分一厘程。鞘長から長刀と見た敵は素早い抜刀はないと判断し間合いを図るも、実際は電光石火の抜き打ちができ、しかも柄を長さ一杯に握れば手元から鋒まで二尺五寸二分程の長さが確保され離れた敵への攻撃も可能。武器としての使い勝手と外観の良さとの両方を追及した江戸期の武士の美意識と装いの実情を伝えている。