銘 信國美直造

Katana
Nobukuni YOSHINAO tsukuru


筑前国 寛政頃 約二百二十年前

刃長 二尺二寸七分七厘
反り 五分二厘
元幅 一寸
先幅 六分二厘
棟重ね 二分二厘
鎬重ね 二分

金着一重ハバキ 白鞘付

腰刻金唐革塗鞘打刀拵入
拵全長 三尺二寸四分四厘
柄長 七寸四分

昭和四十三年熊本県登録
特別保存刀剣鑑定書

価格 八十五万円(消費税込)

Chikuzen province
Kansei era
(late 18th century, late Edo period)
about 220 years ago

Hacho (Edge length) 69㎝
Curvature approx.1.6cm
Motohaba (Width at Ha-machi) 3.05㎝
Sakihaba (Width at Kissaki) 1.88cm
Kasane (Thickness) 0.68㎝
Gold foil single Habaki / Shirasaya

Koshi kizami kin karakawa-nuri saya,
uchigatana koshirae
Whole length:98.3cm
Hilt length: 22.4cm

Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK
Price 850,000 JPY

 筑前国の美直は信國吉政七代目光昌の門人で、後に養子に迎えられている。寛政五年十一月七日、藩主黒田斉隆の御前にて義父光昌を向鎚に鍛刀した際、これをつぶさに見た黒田侯は美直の卓越した技術に感服して幕閣や知音の大名への献上品とすることとし、また宗像大社への奉納太刀を打たせている(注①)。美直は鍛刀のみならず彫金にも長じ、寛政十年には滝不動と雲龍彫のある正宗写の刀を打ち(注②)、さらに鐔も手掛けている。
 この刀は身幅重ね尋常で、中鋒の洗練味ある姿で、心地よい重量感のある一振。板目に杢を交えた地鉄は細かな地景が入って緻密に肌起ち、粒立った地沸が厚く付く。刃区下焼き込みから始まる刃文は、浅い湾れに互の目を配し、物打付近へ行って一段と焼高く鎬筋を横断し、棟焼と連動して力強く奔放に変化し、銀砂のような沸が厚く付いて刃縁明るく、沸の一部は零れて地を焼き、相州正宗に見るような雪の叢消えの如き態となり、刃中に沸足入り、葉浮かび、沸筋が流れる。特に物打辺りの沸の景観が激しさを増し、帽子は穏やかに乱れ込んで一枚風となって返り、棟を長く焼き下げる。保存優れた茎に鑚強く刻された銘字には鑚枕が立つ。輝く沸に包まれ、名物池田正宗(注③)を想起させる覇気横溢の一刀となっている。
 埋忠重義の時雨亭図鐔を写した美直自作の鐔が掛けられた、腰印籠刻金唐革塗鞘の拵が付されている。

注①福田博同「刀匠信国系図の総合的研究:筑紫信国を主として」(『跡見学園女子大学文学部紀要』第五十三号)に詳しい。

注②『銀座情報』二百八十九号。なお他にも美直が福岡藩士の需で滝不動と倶利迦羅彫を施した、寛文十二年八月吉日紀の肥州河内守正廣の脇差がある(『肥前刀大鑑 忠吉篇』)。

注③徳川将軍家から尾張徳川家に伝来。徳川黎明会蔵。重要文化財。

刀 銘 信國美直造刀 銘 信國美直造腰刻金唐革塗鞘打刀拵 刀 銘 信國美直造

腰刻金唐革塗 差表切先腰刻金唐革塗 差表中央腰刻金唐革塗 差表ハバキ上

刀 銘 信國美直造 差裏切先刀 銘 信國美直造 差裏中央刀 銘 信國美直造 差裏ハバキ上

 

刀 銘 信國美直造 ハバキ