白檀塗鞘打刀拵入
拵全長 三尺三寸
柄長 八寸
平成五年岐阜県登録
斬れ味鋭いことから人気のあった兼弘刀匠の、深い樋を掻いて重量が鐔と柄を含めて九五〇グラムに調整されてバランスが良く、手持ちが軽く感じられる扱い易い打刀。兼弘刀匠は高羽誠刀匠に学んで備前伝を能くし、殊に居合刀の分野で評価された一人。江戸時代に用いられた登城用大小の大刀を手本としたもので、二尺三寸の寸法に刃先を鋭く仕立てた造り込み。小板目鍛えの地鉄は所々肌立ち、細かな地沸が付き、物打辺りに湯走りが流れる。刀身中ほどに小疵があるも、実用の妨げにはならない。刃文は逆ごころのある互の目乱刃で、帽子も浅く乱れ込んで先小丸に返る。匂口潤みごころの焼刃は凄みがあり、互の目は丸みを帯びて高低変化に富み、透明感のある刃中に匂足が長く射す。帽子はごく浅く乱れ込んで先小丸に返る。
透明感のある白檀塗鞘に菊花を意匠した木瓜形の鐔を掛け、菊の図目貫と菊図頭を薄小豆色の糸で堅く巻き締めている。