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大和守安定
    (良業物)

 


Katana Sig.

Yamato no kami YASUSADA

    (Yoki Wazamono)


武蔵国 万治頃 約三百六十年前

刃長 二尺二寸三分四厘
反り 三分三厘
元幅 一寸/先幅 七分
棟重ね 二分/鎬重ね 二分一厘
金着二重ハバキ 白鞘付

黒蝋色塗鞘打刀拵入
拵全長 三尺二寸三分七厘
柄長 七寸八分二厘


昭和三十八年静岡県登録

特別保存刀剣鑑定書


*     *     *     *

Musashi province / Manji era (mid 17th century, early Edo period) / about 360 years ago

Hacho (Edge length) 67.7p / Sori (Curvature) 1
p
Motohaba (Width at Ha-machi) 3.02p / Saki-haba (Width at Kissaki) 2.15
p
Kasane (Thickenss) 0.65
p
Gold foil double Habaki, Shirasaya

Kuro ro-iro nuri saya, uchigatana koshirae
Whole length: 98.1cm
Hilt length: 23.7cm

Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK


 

 大和守安定(やすさだ)は元和四年紀伊国の生まれで、名を富田(とんだ)宗兵衛という。江戸前期の慶安頃、将軍膝元の江戸に出、神田白銀町に鍛冶場を構えた。「天下開闢以来五ツ胴永久六十四歳」の截断銘入の作(注@)もあり、長曽祢虎徹に勝るとも劣らぬ刃味の良さで、江戸の武士たちの信頼を得ていた。
この刀は安定の心技体が最も充実した万治頃(注A)の作。元来は二尺五寸を超す長刀で、磨上ながらも今なお身幅が広く重ね厚く、浅く反って中鋒に造り込まれた堂々たる姿。地鉄は小板目に板目、杢目を交え、地景が縦横に入って肌目起ち、地沸厚くついて鉄色明るく、活力に満ちた肌合。焼高い互の目乱刃の刃文は安定の得意の箱がかった刃、小互の目、尖りごころの刃、小湾れを交えて奔放に変化し、銀砂のような沸が厚くついて眩く輝き、刃境に金線、砂流し盛んにかかり、刃中に充満した細かな沸の粒子を切り裂くように金筋が躍動し、刃中の照度と高度が共に高く、堅物を物ともしないであろう刃味の良さを感じさせて凄みがある。帽子は焼を深く残し、虎徹のように横手を強く焼き込み、乱れ込んで掃き掛けて小丸に返る。茎は磨上ながら筋違の鑢目が掛け始めから徐々に傾斜が急となる安定の特色も顕著。興隆期の江戸の雰囲気を全身に湛えた力感漲る佳作である。
満開の吉野桜図縁頭と梅図目貫の拵が附帯している。

注@『日本刀工辞典新刀篇』。藤代義雄氏は同書で「山田浅右衛門選では良業物なるも、おそらく切れ味に於ては随一の作者であらう」と述べている。

注A万治三年の山野加右衛門永久の金象嵌截断銘入りの刀と刃形、銘形が本作に酷似。小笠原先生は「万治頃が大成期とみられ、もっとも覇気のある作品が多い」と述べている(『長曽祢乕徹新考』)。

刀 銘 大和守安定刀 銘 大和守安定黒蝋色塗鞘打刀拵 刀身 刀 銘 大和守安定刀 銘 大和守安定 白鞘

刀 銘 大和守安定 切先表刀 銘 大和守安定 中央表刀 銘 大和守安定 区上表





刀 銘 大和守安定 切先裏刀 銘 大和守安定 中央裏刀 銘 大和守安定 差裏ハバキ上

 


刀 銘 大和守安定  ハバキ 


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