陸奥国 慶安頃 約三百七十年前
刃長 一尺七寸二分
反り 三分五厘
元幅 一寸/先幅 六分七厘
棟重ね 一分八厘/鎬重ね 二分三厘
金色絵一重ハバキ 白鞘入
昭和三十一年神奈川県登録
特別保存刀剣鑑定書
(消費税込)
* * * *
Mutsu province / Keian era (mid 17th century, early Edo period) / about 370 years ago
Hacho (Edge length) 62.1p / Sori (Curvature) 1.06p
Motohaba (Width at Ha-machi) 3.03p / Saki-haba (Width at Kissaki) 2.03p
Kasane (Thickenss) 0.7p
Gold iroe single Habaki, Shirasaya
Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK
二代目國包は伊達政宗寵愛の山城大掾國包の子で、慶長十七年の生まれ(注@)。正保二年に家督を継いで仙台藩のお抱え刀工となり、寛文七年十一月には五十六歳で山城守を受領している。初代もまた追い求めた遠祖保昌伝の柾目鍛えを得意とし、古作に紛れる覇気横溢の大和伝を遺している(注A)だけでなく、互の目出来の刃文にも挑んでその完成度が高く、さらに良業物に列せられているように切れ味にも優れた刀工であった。
この脇差は寸法長めにバランス良く反り、大和の古伝通りに鎬の強く張った頑強な印象の造り込みで肉厚感が掌に伝わりくる。流れごころの柾目肌は緊密に詰んで澄み、肌目に沿って細やかな地景が現れ微細な地沸と働き合って流れるような景色を生み出している。刃文は焼頭が穏やかに上下する互の目で、刃文に応じて乱れ込んだ帽子は、先小丸に返る。粒子の揃った小沸の焼刃は明るく冴え冴えとし、刃境には小沸のほつれが金線を伴って盛んに掛かり、刃中ではこれが淡い砂流しとなって足に絡む。大和伝柾目鍛えと、江戸期の端正な互の目が見事に調和した出来となっている。
注@…寛文十二年六十一歳没。
注A…『銀座情報』五一号に、第二十七回重要刀剣指定の柾目鍛えの刀が掲載されている。
|