ご注文はこちら
三つのお約束

一覧

平造脇差 近江大掾藤原忠廣
    (大業物)

Hirazukuri-Wakizashi Sig. Ohmi daijo Fujiwara no Tadahiro
    (O Wazamono)

肥前国 承応頃 約三百六十五年前

刃長 一尺二寸七分七厘 反り 二分
元幅 一寸三厘 重ね 二分
彫刻 表 真倶利迦羅 裏 三鈷柄剣
金着二重はばき 白鞘入

田野辺探山先生鞘書「同工ノ典型而其眞面目ヲ表示セリ 承應年間ノ作也」
昭和二十六年兵庫県登録(11409号9月20日)
保存刀剣鑑定書(彫物吉長別人)

   *     *     *     *
Hizen province / Sho'o era (early Edo period) , about 365 years ago

Hacho (Edge length) 38.7cm / Sori (Curveture) approx. 0.6cm
Motohaba (width at Ha-machi) 3.13cm / Kasane (thickenss) 0.62cm
Engraving; "Shin no Kurikara" on the front, "San Ko-ken" on the back
Gold foil double Habaki, Shirasaya
Hozon certificate by NBTHK (Engraving; worked by Yoshinaga)



 江戸前期を代表する刀工として遍く知られる肥前国の近江大掾忠廣は、有田焼等自国の産業振興に熱心であった佐賀藩主鍋島勝茂侯の命に応え、幕閣や有力大名への献上太刀などを鍛えている。加えて一門には忠長、吉長らを筆頭に刀身彫刻に長けた職人を擁し、精妙な彫により刀身の美観が一段と高められた作を遺している。
この平造脇差は身幅広く、わずかに先反りが付いた量感のある姿。彫刻は表の龍の鱗が立って眼光鋭く、しなやかな肢体を剣に巻き付ける姿は覇気に満ち、裏の剣も洒落ており、所持者の信仰心に応えて元来から施されたものであろう、南北朝時代を手本とした造り込みに調和している(注)。地鉄は小板目肌が詰み澄んで粒立った地沸が厚く付き、地景が密に入って弾力味があり、鉄色の明るい肥前の小糠肌となる。直刃の刃文は純白の沸が厚く付いて沸の幅広く帯状となる肥前らしい様相で、刃境に湯走り、二重刃が掛かり、匂充満して刃中は明るい。茎は先鋭く尖り、慶安から承応頃の初期作に見る形状で、僅かに勝手上がり鑢で仕立てられて茎の錆味優れ、棟寄りにやや小振りの銘字が神妙に刻されている。同工の典型的作域が示されてしかも出来が優れ、地刃、彫共すべてに見応えのある一口となっている。

注…初代忠吉、二代忠廣には吉長彫が施されていることが多い。本作は彫様から吉長以外の肥前彫師によるものと考えられる。

平造脇差 銘 近江大掾藤原忠廣平造脇差 銘 近江大掾藤原忠廣平造脇差 銘 近江大掾藤原忠廣 白鞘

平造脇差 銘 近江大掾藤原忠廣 切先表平造脇差 銘 近江大掾藤原忠廣 ハバキ上表

平造脇差 銘 近江大掾藤原忠廣 切先裏平造脇差 銘 近江大掾藤原忠廣 ハバキ上裏


平造脇差 銘 近江大掾藤原忠廣 ハバキ


Ginza Choshuya All Rights Reserved