刀
銘 豊後守源正全 刃長 二尺三寸三分(七〇・六糎) 徳川親藩の筆頭尾張藩は中京地方の守りを自認し、兵法指南役に柳生兵庫、連也斎の剣客を招いており、藩士の尚武の気風も強く武術道場が賑わいをみせた。刀槍への要求も高く、他国より優工が多数来住し、氏房、信高、政常、正全などが競って鎚を振るった。 この刀は身幅広く棟の肉が僅かに削がれて総体に鎬筋張り、反り浅く中鋒に造り込まれ、截断は勿論突技にも適した姿。地鉄は小板目肌が錬れて密に詰み、細かな地景が縦横に働く。尖りごころの互の目の刃文は二つ三つと連なり高く低く小気味よく変化し、純白の小沸が付いて刃縁は締まりごころにきっぱりと冴え、焼の谷から足、葉が入り、小形の金線、細かな砂流し掛かり、刃中は細かな沸が充満して照度高く、物切れのする様相。帽子は僅かに弛み、掃き掛けごころとなって小丸に返る。 |
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