刀 元来は二尺一寸強の頗る扱い易い片手打ちの刀で、棟に残されている複数の受け疵が、戦場での活躍を物語っており、相手の刀を受けて折れることなく健全体躯を留めていることこそ、この刀の優秀性を証明するもの。武器供給の態勢がさらに高まっていった時代の作であり、忠光には西国の要衝でもあった美作での駐槌作や、注文銘の刻された作がある。 身幅広く重ねしっかりと残されたこの刀身は、小杢を交えた板目が緊密に詰み、淡く乱れた映りを分けるように細かな地景が密に入り組み、渦巻状あるいは流文状の杢目肌が刃境を超えて刃中にも及んでいる。刃文は、鎌倉時代の古作を手本としたものであろう、出入りの複雑な互の目に丁子を交えた構成で、刃縁ほつれ、逆足濃密に入り、葉、飛足に淡い匂の流れが掛かり、物打辺りは小乱状に能動的、帽子も激しく乱れ込んで返る。また、互の目の頭が尖って地に突き入り、地中の映りと接して感応し合い、作意を超越した景色を生み出している。 |
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