菊慈童図縁頭 |
江戸時代後期 |
不老長寿を願う象徴として古来より好画題とされた「菊慈童」。偈文を書いた菊の葉から滴った水を飲んで不老不死の仙人となった美童。その水は川に流れ近隣の村人の病を治し長寿の恩恵を与えたという。「菊水伝説」である。昨今ではあまり見られなくなったが、菊の被綿で体を拭ったり、菊酒を飲んで無病息災を祈願する九月九日の「重陽の節句」はかつて重要な年中行事だった。四世東光軒一壽敬重は明治四年まで作品を残している。黄色味を帯びた暗色の四分一地は渋い光沢を放ち、頭の側面と縁の一部は入念な網代仕上げとなっている。顔の造作、表情、衣装の細部まで丁寧に彫り描いた浜野政隨風の優作である。 |
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