寒山拾得図小柄
銘 宗與花押

江戸時代中期 武蔵国江戸

四分一地片切彫毛彫象嵌
長さ:97.4mm 幅:14.4mm
特製落込桐箱入

保存刀装具鑑定書
ご成約を賜りました

 それぞれ巻物と竹箒を手にした貧しげな身なりをした童形の二人がいたら誰もが「寒山拾得図」とわかることだろう。だが、本作は少々設定が異なっている。竹笹(おそらくは竹箒の見立てであろう)にひっかけられた風景画に見入る寒山と、竹笹を支えているのであろう小柄の側面でひょっこり顔をのぞかせる拾得というユーモラスで変わった趣向の構成である。いかにも無邪気、どこか得意満面といった表情の寒山を見ているとこちらも楽しい気分になる。片切彫は一見地味だが、宗a、宗與などが完成させた鏨による絵画には極めて高度な技術と感性が要求される。素材である四分一は金属の配合によって色合いや地斑が画面に独特の表情を与えるが、非常に硬く扱いは難しい。力強い輪郭線、指先や衣の動きを表す柔らかくしなやかな線、消え入りそうな毛彫と手法は多種多彩で実に見事である。縦図の小柄自体が掛軸のようで、その画中にさらに入れ子のように軸がかけられている。側面に緻密な鏨使いで拾得が隠し絵のように彫られているなど遊び心を感じさせる作である。
寒山拾得図小柄 銘 宗與花押

寒山拾得図小柄 銘 宗與花押

寒山拾得図小柄 銘 宗與花押

寒山拾得図小柄 銘 宗與花押

寒山拾得図小柄 銘 宗與花押

Copy Right(c) Ginza Choshuya Co&Ltd reserved