十字に鐶透鍔(鐔) |
江戸時代中期 武蔵国江戸 |
一体どのような豪刀に装着されたのであろうか、10cmに迫る大きさで厚みは8mm、重さに至っては273gもある。一般的な透鐔の二倍以上の重量である。意匠も印象的で、おそらく分銅に鐶を組み合わせたものであろうが、中心が十字形に見え、非常に短絡的ではあるが、大航海時代のポルトガル船の帆に描かれたキリスト騎士団の十字紋章を想起させる。透の内側の処理、中心を低く、耳に向かって滑らかに厚みを増していく仕立て方など鉄の扱いに長けた明珎ならではの優れた造形である。大迫力の大きさで、意匠の面白さと共に鉄という素材の魅力が堪能できる。 |
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