雁の使い(蘇武)図鍔(鐔) |
江戸時代後期 常陸国 |
詳細な描写の高彫色絵を得意とする水戸金工打越派と極められた本作。小振りで引き締まった竪丸形の赤銅磨地に描かれたのは中国前漢時代、武帝に仕えた武将蘇武である。捕虜交換の使節として匈奴に赴き、十九年間抑留されたが節を守り通し、雁の足に自身の生存を知らせる手紙をつけて放ったことから解放されたという逸話がある。表側には空を見上げる蘇武と彼方には楼閣が、裏側には水辺に向かう雁が描かれている。文人画を思わせる山や樹木の描写が打越派の特徴をよく表し、際端を絞った立体的な高彫に金銀素銅が彩を与えている。 |
Copy Right(c) Ginza Choshuya Co&Ltd reserved |