流水に親子猪図小柄 |
江戸時代後期 |
綺麗に粒の揃った微細な赤銅魚子地を背景に野を駆ける親子の猪。紋は高く豊かな肉置きで、際端は引き締まって立体的。水場を目指しているのであろうか。画面の半分を占める水の流れは薗部派独特の形状で、周りに散らし配された飛沫もまた同派に特徴的な表現手法。裏面は、奔放に駆け回る鏨による鑢目が、風が渡る草原を思わせる。薗部芳継は安永四年生まれ。後藤系の金工田中芳章に学び、その技量を見込まれて養子となり田中氏を称した。後に旧姓の薗部(園部)に復して独立開業。薗部派を興し、多くの門弟を養成して活躍した。芳継は後藤宗家にも出入りを許され、御家彫方式の精巧な工法を得意とした。 |
Copy Right(c) Ginza Choshuya Co&Ltd reserved |