琴高仙人図縁頭 |
江戸時代後期 武蔵国江戸 |
六世安親と呼ばれた土屋昌親に学び土屋姓を許された守親の琴高仙人と唐子を彫描いた縁頭。琴高仙人は中国周の時代の人で琴の名手。長寿の仙術を行って800年も生きたという。ある時、龍の子供を捕まえて見せてやると言って川へ入り、大きな鯉に乗って現れ人々を驚嘆させた。黄河の龍門を登った鯉は龍になるというから、鯉は龍の子供であろう。江戸時代の終わりから明治時代の金工の彫金技術は最高水準に達した。守親もその例に漏れず、師の昌親の高い技術を受け継いだ詳細な描写力には舌を巻く。泰然として鯉に乗る琴高仙人と、戸惑っているような鯉の目線の対比が面白い。太鼓と撥を投げ出して大喜びの唐子のふっくらした頬には愛らしいえくぼがある。やがて廃刀令を迎える難しい時代を生きた守親はどんな人だったのだろう。ユーモアのある愛情深い人物像を想像させる。守親は備前岡山の産で銘文にある鉄炮洲は銀座長州屋に近い。中央区湊1丁目辺り。 |
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