胡蝶の夢図縁頭
銘 嘯花押

江戸時代後期
四分一磨地肉合彫金銀色絵

縁幅:41mm 縁の腰高:19mm
頭幅:36mm 頭の腰高:10mm
特製落込桐箱入

保存刀装具鑑定書
ご成約を賜りました

 頭に大きく蝶を配し、縁には書物を広げ、頬杖をついて転寝する唐人が彫描かれている。夢の中で胡蝶となってひらひらと飛んでいたところ目が覚めたが、果たして自分は蝶になって夢を見ていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか。中国の戦国時代、宋の国に生まれた思想家荘子の説く「無為自然」、「一切斉同」の考えをよく表した「胡蝶の夢」。頭も縁も腰高で呑み込みが深く、縁幅は41mmもある。幅広、長大な刀の頑健な拵に用いられたのだろう。わずかに黄色味を帯びた四分一地の色合いが夢と現のあわいを漂うかのような雰囲気によく合っている。平地に鏨を垂直に入れて強い輪郭線を作り、その内側を抑揚のある薄肉彫としている。作者が誰であるのか、また、銘は何と読むのか今のところ全くわからないのだが、技法、花押の形から推測すると浜野政隨に有縁の金工であろうか。微かに微笑んでいるかのような唐人の寝顔が良い。
胡蝶の夢図縁頭 銘 嘯花押

胡蝶の夢図縁頭 銘 嘯花押

胡蝶の夢図縁頭 銘 嘯花押

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