1 桜樹 彫仙壽
表 桜樹鋤下高肉彫 裏 和歌

銘 宮入小左衛門行平 平成十年仲秋  刃長 二尺三寸九分三厘
「うらうらとのどけき春のこころより にほひいでたる山桜はな」(賀茂真淵)


 宮入小左衛門行平の志津風に仕上がった上出来の刀身に、爛漫の桜が高肉彫とされている。仙壽は春になると近くの後楽園に足を運び、桜樹の下に座して花びらを見つめ、その柔らかさを彫り表す術を練ったと言う。鎬に鋤下高肉彫とされた桜樹は立体感に溢れ、薄く危うげな花びらの表現も見事である。

  

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