腰刻黒石目地塗吹寄文蒔絵鞘打刀拵
(刀身は入っておりません)
拵全長 三尺三寸八分(一〇二・五糎) 鞘長 二尺五寸六分 柄長 八寸強 刃長 約二尺三寸三分 反り 約四分五厘
茎長 約六寸五分 元幅 約一寸
(刀身はありません)
ご成約賜りました
●寿老人図目貫 銀地容彫
●白鮫皮着黒糸摘巻柄
●田舎家図縁頭 素銅地高彫金銀色絵 ●葵木瓜形鐔 鉄地高彫
南北朝時代の大太刀の磨上物が収められていた、洒落た意匠の打刀拵。柄の内部とツナギの状態から、刀身には棒樋が掻き通されていたことが推測される。身幅広めに先幅落ちず、重ねは尋常で反りは控えめとされており、南北朝の時代観が鮮明で、拵に比して無骨な印象が強い。
銀杏、松葉、楓の文様を施した鞘の腰元には一分間隔の刻みを設けて黒漆塗としており、その漆の色合いには古色が滲み出ている。銀杏、松葉、楓の組み合わせになる文様は、枯葉の風に吹き寄せられた様子を文様化したもので、細かな雲地文を背景にした金銀の蒔絵は落ち着きがあり、さらに陰陽の手法を採り入れて味わいは格別。鐔は洒落た菱文様になる葵木瓜形の鉄地高彫。素銅地高彫金赤銅色絵になる蔦図縁頭は田舎家を象った造り込みで、縁から頭の屋根へと蔦の這う様子を巧みに描き出している。写実的な寿老人図目貫は古調な色合いを呈する銀地容彫で、精密な彫刻表現で立体的、裏の鹿も生命感が溢れている。いずれも作行き優れた金具で、白鮫皮に黒糸で巻き締めている。 |