短刀
銘 播磨守輝廣

Tanto
Harima no kami Teruhiro



尾張国‐安芸国 寛永頃 約三百八十年前
Owari - Aki province, Kan'ei era, early Edo period (early 17th century), about 380 years ago

刃長 九寸八分 Edge length; 29.7cm
元幅 九分六厘Moto-haba(Width at Ha-machi); approx. 2.9cm
重ね 二分一厘半Kasane (Thickness); approx. 0.65cm
彫刻 表 棒樋掻流し 裏 二筋樋掻流し
Engraving: "Bo-hi, Kaki-nagashi" on the right face (Omote), "Futasuji-hi, Kaki-nagashi" on the back face (Ura)
金着二重ハバキ 白鞘入
Gold foil double Habaki, Shirasaya

平成七年大阪府登録
特別保存刀剣鑑定書
Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK

 播磨守輝廣は尾張国蟹江の出身。肥後守輝廣に師事して初銘を兼久と切る。師によく仕えてその信を得、娘を娶って輝廣二代を襲名。慶長五年には主福島正則に伴って安芸広島に移り、同十五年頃に播磨守を受領、相州上工、就中貞宗を想わせる沸出来の刀は出来優れて世評高く、輝廣家繁栄の礎を盤石にした。
 真の棟に造り込まれたこの短刀は、身幅広く重ね厚く、棒樋と二筋樋が巧みに掻かれて凛と引き締まった姿格好。地鉄は流れるような板目の刃寄りに柾を配して強く錬れて詰み、全面に太い地景が入り、これに感応するように地底から清浄な地沸が湧き立って瑞々しく潤い、棟寄りに淡く沸映りが立ち、地相も鉄色も晴れやか。細直刃に湾れを交えた刃文は、腰元付近の焼幅広めに真砂を想わせる沸の粒が厚く付き、地中に湯走りが流れ込んで淡い沸筋が幾重も掛かり、所々ほつれと喰い違いが加わり、ふくらから帽子にかけて焼が強まり、良く沸付いてここも喰い違い、帽子は二重刃ごころとなり強く掃き掛けて浅く返り、刃中は総体に匂が充満して蒼く冴える。筋違鑢で仕立てられた茎の棟寄りに銘字が太鑚で堂々と刻されている。繊細にしかも綿密に施された焼入れは見事で、焼刃が低く抑えられたが故に地鉄の美しさを存分に堪能できる。相州貞宗を念頭に精鍛された優品で、名手「播輝」の技術の高さが余すところなく示された貫禄充分の一振である。

 

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短刀 銘 播磨守輝廣 切先表短刀 銘 播磨守輝廣 ハバキ上表


短刀 銘 播磨守輝廣 切先裏短刀 銘 播磨守輝廣 刀身区上差裏

短刀 銘 播磨守輝廣 ハバキ

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