大小一腰
脇差(Wakizashi = "Sho")
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三井家(注@)に伝来した、近江大掾忠廣の大小揃い。近江大掾忠廣は肥前国鍋島家に仕えた忠吉家の二代目で、慶長十九年の生まれ。父の初代忠吉が晩年に武蔵大掾を受領して用いた忠廣銘を寛永九年に襲い、一門が目指していた古作山城物の再現に取り組んで綺麗な小板目鍛えを生み出し、江戸期における作刀文化の中心の一つとなった。寛永十八年には近江大掾を受領。その作品は、姿、地鉄、焼刃総てが美しいだけでなく大業物に列せられているように斬れ味にも優れており、父の作と共に、鍋島家から他国大名家への贈刀とされたほどに高い信頼を受けていた。知名度が高く多くの需要があったことから遺作が多く(注A)、三代目を継ぐ予定であった我が子陸奥守忠吉を貞享三年に亡くしたため、その後も作刀を続けて門人や四代目を育成し、八十歳の長命を全うしている。 注@…伊勢国松阪より江戸に出て繁盛した豪商。 |
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