銘 備州長舩忠光
延徳二年二月日
(Yoki Wazamono)

Katana
Bishu Osafune Tadamitsu
Entoku 2 nen 2 gatsubi
(Yoki Wazamono)

備前国 延徳 五百二十八年前
Bizen province, Entoku 2 (late Muromachi period, late 15th century), 528 years ago

刃長 一尺九寸八分三厘 Edge length; 60.1cm
反り 四分六厘 Sori (Curveture); approx.1.4cm
元幅 九分九厘 Moto-haba(Width at Ha-machi); approx. 3cm
先幅 六分二厘 Saki-haba (Width at Kissaki); approx. 1.88cm
棟重ね一分六厘
鎬重ね二分四厘強 Kasane (Thickness); approx. 0.75cm
金着二重ハバキ 白鞘入 Gold foil double Habaki / Shirasaya
昭和六十二年山口県登録

特別保存刀剣鑑定書 Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK

 


 忠光は室町時代中期から後期にかけての備前長舩鍛冶の代表工で、同時代の勝光、宗光、さらには法光、祐光、法光、賀光などと覇を競い、群雄割拠する戦国武士団の需めに応えて多くの名作を遺している。忠光同銘中では文明から延徳頃の彦兵衛初代や、延徳から明応頃の同二代、続く永正の平右衛門尉忠光が聞こえており、これらの中には俗名こそ無いが、勝れた作柄の物が多く、精妙な直刃仕立てと、殊に地鉄の精錬技術においては古来末備前中屈指の評がある。
 表題の延徳二年二月日の紀年銘を有する初代忠光の刀は、この時代にのみ盛行した片手打。太刀の指し添えとして抜刀に適し、片時も所有者の腰間を離れない操作性を重視して二尺の寸法に抑え、身幅も抑えて鎬を張らせ、棟をわずかに削いで刃の通り抜けを容易とした造り込み。地鉄は肌目美麗な板目鍛えとされ、これに杢肌が交じって網目状の地景が入り組み、地沸細かに湧いて表面に弾力味があり、鎬地も叢なく均一にして躍動感がある。この工が得意とする広めに土取りした直刃の刃文は浅い湾れを交え、匂口締まりごころに小沸付き、刃縁に微かなる小互の目が連なって小足が入り、二重刃風に匂の帯が連なり、刀身中ほどから上にかけて鋭い金筋、砂流しが働き、帽子は焼幅深い小丸に返る。精密な鍛錬に周到なる焼入れは機能美の極致でもあり、これに命を懸ける前線の武士の明鏡止水の心に叶うものである。

刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日 白鞘

刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日 切先表刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日  刀身中央表刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日 ハバキ上表


刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日 切先裏刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日 中央裏刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日 刀身区上差裏

刀 銘 備州長舩忠光 延徳二年二月日 ハバキ

 

忠光押形
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