刀 刃長 二尺三寸九分七厘 Edge length; 72.6cm
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初代包清は手掻派の初祖包永の子、あるいは門人と伝え、嘉暦二年、同四年の年紀作があることによって活躍期は明白。その後は南北朝中期の應安二年紀を遺す工、応永頃の左衛門尉、以下天文頃まで数代を数えるように、手掻派にあって重きを成した門流。また、東大寺の転害門辺りに鍛冶場を設けていた手掻派は大和五派の中で最も隆盛した鍛冶集団であり、高い技術を保持した一門の工が各地に移住して栄えている。 磨り上げが施されながらも二尺四寸ほどの長寸を保つこの刀は、下半に反りが付いて中程より上が比較的穏やかに反って小鋒に結んだ、鎌倉時代の様式を示す優雅で力強い姿格好。特に鎬地が広く、鎬筋が高く張った大和物特有の構造。流れ柾を主調とする地鉄は、均質に詰んでしかも細かな地沸で覆われ、鍛え目に伴う繊細な地景で肌が際立っており、極上の鋼を選んで丁寧に鍛えたことが想像される。刃文は技巧のない湾れ刃に大きな喰い違いと所々に小乱れが交じり、焼幅は横手下辺りで狭まり、帽子も浅く湾れ込んで先掃き掛けてごくわずかに返る。小沸と匂の絶妙の配合とされた焼刃は、刃境ふっくらと柔らか味があり、鍛え目に沿ったほつれ、金線、湯走り、沸筋、砂流しが刃境を流れて二重刃を成し、差裏の刀身中ほどには三日月状の打ちのけが鮮明に働く。匂が満ちて明るい刃中には淡い足が無数に入り、葉が浮かび、物打辺りは特に乱れが強まって帽子へと連なる。茎は三度の磨り上げを経ているが、掟通りの切鑢と一文字の切尻に仕立てられており、総体が美しく伝来の良さを示している。 |
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