太刀
銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日

Tachi
Sado no kuni Sinbo MOTOHIRA tsukuru
Heisei Kinoto I no toshi Haru kisshojitsu


新潟県佐渡市 平成七年 五十四歳作

刃長 二尺四寸六分五厘
反り 一寸九厘
元幅 一寸一分五厘
先幅 八分八厘
棟重ね 二分八厘
鎬重ね 二分九厘
彫刻 表裏 棒樋掻流し

金着一重太刀ハバキ 白鞘入

平成七年新潟県登録

Sado city, Nigata prefecture
Heisei 7 (A.D.1995)
Work at his 54 years old

Hacho (Edge length) 74.7㎝
Sori (Curvature) approx. 3.3㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 3.48㎝
Saki-haba(Width at Kissaki) approx.2.67㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.88㎝
Engraving: "Bo-hi" kaki-nagashi

Gold foil single Tachi Habaki / Shirasaya

 新保基平刀匠は昭和十六年九月四日佐渡の産。幼少時より鍛冶業を営む父義治の仕事を手伝って技を修め、昭和三十一年以降は独学で研究。昭和三十七年に佐藤寒山博士の推薦で人間国宝宮入行平師に入門して新境地を開拓。新作刀展には意欲的に出品し、相伝備前長義を範とした平成六年夏吉祥日紀の刀(注①)の他、備前一文字伝の太刀(注②)、長舩倫光の草倶利迦羅彫を範に自身彫を施した平造脇差(注③)等を手掛けており、その作域は広い。
 この太刀は、努力賞を受賞した平成七年の作。身幅が極めて広く平肉も充分に付き、棒樋が深々と掻かれて尚手持ちがずしりと重く、腰反り高く猪首ごころに造り込まれた、鎌倉武士の大丈夫ぶりを想起させる威風堂々の体配。地鉄は小杢目肌が詰み澄み、地沸が微塵に付き肌が潤って明るい。大房状の刃を交えた焼の高い丁子乱の刃文は、焼頭が押し合うように接近して重花丁子となり、純白の小沸で刃縁締まりごころに明るく、匂で爽やかに澄んだ刃中には葉が浮かび、左右に開いて入った長い匂足を遮るように、細かな金線、砂流しが掛かる。帽子は鮮やかに乱れ込んで小丸に返る。茎は製作時そのままに白銀色に輝き、銘字が入念に刻されている。古作への憧れと篤実な研究による、備前一文字伝の優作である。

注①…『現代日本刀作家優品集』所載。弊社旧蔵。

注②…平成七年備前一文字伝の太刀で努力賞受賞。

注③…弊社蔵。なお基平師は平成二十八年短刀・剣の部で公益財団法人日本美術刀剣保存協会会長賞を受賞。

太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日 白鞘

 

太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日 佩表切先太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日 佩表中央太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日 佩表ハバキ上

太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日 佩裏切先太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日 佩裏切先 中央太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日 佩表 ハバキ上

 

太刀 銘 佐渡國新保基平造 平成乙亥年春吉祥日ハバキ

 

基平押形