拵全長 一尺九寸八分
鞘長 一尺四寸八分
柄長 五寸
刃長 約一尺三寸
反り 約一分三厘
元幅 約一寸
茎長 四寸
刀身はありません
特別保存刀装鑑定書
価格 六十五万円(消費税込)
Whole length: 60cm
Scabbard length: approx. 44.8cm
Hilt length: approx. 15.2cm
Hacho (Edge length) approx. 39.4㎝
Sori (Curvature) approx. 0.39cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 3.03㎝
Nakago length: approx.12.1cm
This koshirae has no sword.
浜辺の幸、大海の恵みを主題とした拵。我が国の山林が生み出した天然の滋養は海へと流れ込み、浜辺の生き物を大きく育てている。その大自然への感謝の念が示された作。光沢の強い金沃懸地塗を鞘の下地とし、粒の揃った金粉を叢に蒔き、金銀朱粉盛上蒔絵の技法を駆使して正確で緻密に魚の群を描き表している。寄せては返す波の様子も動きがある。栗形は浅蜊、折金は蜆であろうか、ふっくらと成長した様子が赤銅地に高彫表現されている。 備えている小柄は香包み図で、これも貝に通じている。色合いに深みのある目貫は波に鮑図で、小文様を織り出した紺糸で堅く巻きしめている。縁頭は「雀、海に入って蛤となる」の諺を表現したものであろう、浜辺の貝に雀図。黒味の強い四分一地を量感のある高彫仕立てとし、その 立体的で砂浜の様子も自然味があり、雀が愛らしい。鐔は京の大月派に学んで覇気に満ちた独特の作品を遺す金剛斎月山の作。緊密に詰んだ鉄地高彫に鮮やかな金の高彫象嵌で、雲間に北斗星、蜜柑、鯛の吉祥模様を写実的に彫り描いている。収められていた刀身は、ツナギから南北朝時代の平造小脇差と思われ、身幅が広く先反りの加わった覇気ある姿格好である。