短刀 無銘 島田義助
駿河国 弘治頃 約四百六十年前
刃長 七寸
元幅 八分強
重ね 一分八厘
金着一重ハバキ 白鞘付
昭和二十七年東京都登録
保存刀剣鑑定書(島田義助)
Whole length: 35.2cm
Hilt length: approx. 9.7cm
Tanto: no sign. Shimada YOSHISUKE
Suruga province
Koji era (A.D.1555-1557, late Muromachi period)
about 460 years ago
Hacho (Edge length) 21.2㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 2.43㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.55㎝
Gold foil single Habaki
Shirasaya
頑強な造り込みながら、透彫と毛彫で雪華文(注)を施して洒落た風情を漂わせる拵。柄と鞘の総体を藍鮫皮で包み、銀地金具で総覆輪としている。表皮に細かな凹凸のある藍鮫は滑り止めの効用があり、日本近海でも採取されることから、古くから柄の素材として用いられてきた。また、水に強く渋い色合いから、装飾性の高い鞘の素材としても重宝されている。銀地金具は藍鮫の色調と適合して深みがあり、この拵でも落ち着いた風情の要因となっている。柄の先端に緒通しを目的とした猪目の透かしが施されており、目釘もまた環状の金具を用いたもので、隠れた美観が示されている。見どころは、下緒を通す環が設けられた腰元の胴金で、梅樹図小柄と割笄を収める部分に雪の結晶を透彫にし、縁金具にも浅い鋤彫で雪の結晶を散らしている。
収められている短刀は、駿河国島田に鍛冶場を設け、今川家、武田家、北条家などの武家の信頼を得て栄えた義助と極められた作。短寸ながら骨太な印象があり、良く錬れた板目鍛えの地鉄は全面に細やかな地沸が付き、淡い地景を伴う流れ肌を交えて肌起ち、肌目に添って流れるような映りが鮮明に現れる。刃文は直刃に小模様の互の目を交え、帽子は浅く湾れ込んで先大丸に返る。匂口柔らかに、しかも明るく冴えた焼刃は小足が入り、刃境にほつれが掛かり、太く細くと金線が入って一部稲妻となり、物打辺りに湯走りが掛かって二重刃の様相を呈する。