枝菊に蝶図鐔 銘 高良次造之
Tsuba "Eda-giku" (Chrysanthemum) Sig. Ko YOSHITSUGU kore wo tsukuru
東龍斎清壽の高弟として知られる高橋良次は、師風の高彫表現を得意とし、さらに独創を加味した異色の作品をも遺している。
この鐔では赤銅魚子地高彫色絵の古典的な技法を採ってはいるが、菊花の姿態などに妖艶な風情が漂っており、個性を追求した作であることは明らか。漆黒の赤銅魚子地にくっきりと浮かび上がるように肉高に菊花を彫り出し、殊に花弁の開いた様子に動きを持たせ、金銀の色絵は繊細で清楚。東龍斎の風趣とは異なった世界観に挑み、見事に成功している。