餅に鼠図二所
銘 程乗作 光孝(花押)
後藤宗家九代程乗の作であることを、同十三代光孝が極めた、餅とこれを狙う鼠を彫り描いた二所。
程乗は顕乗の嫡子で慶長八年の生まれ。加賀前田家にも出仕して加賀金工発展の基礎を成した名工。
餅は米と同じ豊穣の意味を持ち、鼠は大黒天の使いで、世の安定と豊かさを寓意している。
細かく揃った赤銅魚子地を背景にしなやかな身体の特徴を捉えて量感豊かに彫り出し、生命感と動きのある姿に描いている。
通常見ることのできない裏板は金で装い、表の落ち着いた雰囲気とは異なる贅沢な造りとしている。