太刀
銘 備州長舩助政
永享三年二月日

Tachi
Bishu Osafune SUKEMASA
Eikyo 3 nen 2 gatsujitsu


備前国 永享三年 五百八十八年前

刃長 二尺三寸七分
反り 六分三厘
元幅 九分四厘
先幅 五分一厘
棟重ね 二分二厘
鎬重ね 二分四厘

下蓋銀地上蓋金着二重ハバキ 白鞘付

文様尽藍鮫研出鞘打刀拵入
拵全長 三尺一寸八分
柄長 七寸二分

伊東巳代治鞘書


平成十一年東京都登録
特別保存刀剣鑑定書

価格 二百八十万円(消費税込)

Bizen province
Eikyo 3 (AD1431, early Muromachi period)
588 years ago

Hacho (Edge length) 71.8㎝
Sori (Curvature) approx. 1.91㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 2.85㎝
Saki-haba(Width at Kissaki) approx.1.54㎝
Kasane (Thickenss) approx. 0.73㎝

Mon-yo zukushi ai-zame togidashi saya,
uchigatana koshirae
Whole length: approx. 96.4cm
Hilt length: approx. 21.8cm

Silver and gold foil double Habaki
Shirasaya
with old Shirasaya, which was written in ink
by Ito Miyoji (Count)

Tokubetsu-hozoncertificate by NBTHK
Price 2,800,000 JPY

 伊藤博文の憲法草案に尽力し、後に枢密院顧問官として国務に携わった伊東巳代治(注①)は、大般若長光、包丁正宗など六百振りの名刀を所有した愛刀家として知られている。白鞘で伝えられたものであれば我が子に服を着せるように拵を製作し、細字で謹直な楷書体の文字で台帳と鞘書を記して刀蔵に保管、刀を深く愛おしんだ。
 表題の太刀は、伊東巳代治遺愛の備前長舩助政の永享三年(注②)の作。僅かに区送りながら身幅重ねしっかりとして鎬筋が立ち、腰反りが付き先へ行って付しごころとなり小鋒に結んだ典雅な姿。地鉄は板目に杢を交えて肌目起ち、地景が太く入り、地沸が厚く付き、刃寄り深く澄んで僅かに地斑を交え、乱れ映りが立つ。互の目丁子の刃文は片落ち風の刃、腰開きごころの刃、むっくりと丸みのある刃を交え、所々に飛焼が掛かり、僅かに逆がかって華麗に変化する。焼刃は、柔らかく付いた小沸で刃縁が明るく、焼の谷に降り積もった沸が刃中に零れて足となり、刃境に細かな金線、砂流しが掛かり、刃中に粒子の細かな沸が充満して水色に澄む。帽子は焼を充分に残して沸付き、乱れ込んで小丸に返る。鎌倉後期の備前長光や景光を念頭に精鍛され、盛光や康光、家助らと比較しても遜色のない、見事な出来栄えとなっている。
 伊東が付した拵は、亀甲文、七宝繋文、網代文を組み合わせた藍鮫皮包鞘に、慶応四年関屋暮雪が叙情豊かに彫り描いた雁図縁頭と雁図目貫で装った瀟洒な作。遺愛の程を伝えている。


注①…昭和二年金融恐慌では事態収拾のため若槻礼次郎内閣を総辞職させ、昭和五年ロンドン海軍軍縮条約では協調外交路線の浜口雄幸政権を批判。帝政日本の栄光のため辣腕を振るった。

注②…『日本刀銘鑑』の永享三年の作例は本作。

太刀 銘 備州長舩助政 永享三年二月日太刀 銘 備州長舩助政 永享三年二月日

太刀 銘 備州長舩住重真 文和四年十一月日 古鞘太刀 銘 備州長舩住重真 文和四年十一月日 白鞘

太刀 銘 備州長舩助政 永享三年二月日 差表切先太刀 銘 備州長舩助政 永享三年二月日 差表中央太刀 銘 備州長舩助政 永享三年二月日 差表ハバキ上

太刀 銘 備州長舩助政 永享三年二月日 差裏切先太刀 銘 備州長舩助政 永享三年二月日 差裏ハバキ上太刀 銘 備州長舩助政 永享三年二月日 差裏ハバキ上

 

太刀 銘 備州長舩助政 永享三年二月日 ハバキ

 

助政押形